ライフ

印刷博物館【2】ガリ版印刷の全手動コピー機に壇蜜「懐かし~い」

1962年、『東京オリンピック第2号ポスター』の前にて(オリンピック東京大会組織委員会。デザイン:亀倉雄策、フォトディレクション:村越襄、写真:早﨑治)

1962年『東京オリンピック第2号ポスター』の前にて(オリンピック東京大会組織委員会。 デザイン:亀倉雄策、フォトディレクション:村越襄、写真:早﨑治)

 美術史家で明治学院大学教授の山下裕二氏と、タレントの壇蜜。日本美術応援団の2人が、日本の美術館や博物館の常設展を巡るこのシリーズ。今回は東京都・文京区の印刷博物館の第2回。2人がカラー印刷技術の進化がうかがえる展示物を見て回る。

山下:印刷博物館は展示室が「印刷の日本史」「印刷の世界史」「印刷×技術」「印刷工房」の4エリアにわかれ、ここ「印刷×技術」では製版方法を詳しく学ぶことができます。印刷物も展示され、『東京オリンピック第2号ポスター』は日本で初めてのB全版グラビア多色刷りのポスターです。

壇蜜:選手たちの息遣いや鼓動まで聞こえてきそうな迫力あるポスターです。あれはもしや、ガリ版ですか!? 懐かし~い。保育園の時にやったことがあります。手を真っ黒にしながら刷って楽しかったなぁ。

山下:昔懐かしいガリ版印刷はいわば全手動のコピー機。手書きの文字や図柄がわら半紙に刷られて、ぬくもりがありましたね。

壇蜜:こちらの石版はまた大きくて重そうですねぇ。

山下:オフセット印刷の元となった石版の平版印刷です。石の重さは100kg以上。色ごとに刷りわけ、展示ポスターには12色以上の色が重ねられています。

壇蜜:この平らな版からポスターができるなんて夢心地です。文字や柄が彫られていたのが描かれるようになり、凹凸のある版がなめらかになったことに印刷技術の進化が感じられます。

【プロフィール】
山下裕二(やました・ゆうじ)/1958年生まれ。明治学院大学教授。美術史家。『日本美術全集』(全20巻、小学館刊)監修を務める、日本美術応援団団長。

壇蜜(だん・みつ)/1980年生まれ。タレント。執筆、芝居、バラエティほか幅広く活躍。近著に『三十路女は分が悪い』(中央公論新社刊)。

●印刷博物館
【開館時間】10時~18時(最終入館は閉館30分前まで)
【休館日】月曜(祝日の場合は翌日)、年末年始、展示替え期間
【入館料】一般400円
【住所】東京都文京区水道1-3-3トッパン小石川ビル

撮影/太田真三 取材・文/渡部美也

※週刊ポスト2021年4月2日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン
10年に及ぶ山口組分裂抗争は終結したが…(司忍組長。時事通信フォト)
【全国のヤクザが司忍組長に暑中見舞い】六代目山口組が進める「平和共存外交」の全貌 抗争終結宣言も駅には多数の警官が厳重警戒
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《前所属事務所代表も困惑》遠野なぎこの安否がわからない…「親族にも電話が繋がらない」「警察から連絡はない」遺体が発見された部屋は「近いうちに特殊清掃が入る予定」
NEWSポストセブン
放送作家でコラムニストの山田美保子さんが、さまざまな障壁を乗り越えてきた女性たちについて綴る
《佐々木希が渡部建の騒動への思いをストレートに吐露》安達祐実、梅宮アンナ、加藤綾菜…いろいろあっても流されず、自分で選択してきた女性たちの強さ
女性セブン
看護師不足が叫ばれている(イメージ)
深刻化する“若手医師の外科離れ”で加速する「医療崩壊」の現実 「がん手術が半年待ち」「今までは助かっていた命も助からなくなる」
NEWSポストセブン
(イメージ、GFdays/イメージマート)
《「歌舞伎町弁護士」が見た恐怖事例》「1億5000万円を食い物に」地主の息子がガールズバーで盛られた「睡眠薬入りカクテル」
NEWSポストセブン
キール・スターマー首相に声を荒げたイーロン・マスク氏(時事通信フォト)
《英国で社会問題化》疑似恋愛で身体を支配、推定70人以上の男が虐待…少女への組織的性犯罪“グルーミング・ギャング”が野放しにされてきたワケ「人種間の緊張を避けたいと捜査に及び腰に」
NEWSポストセブン
和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
【新宿タワマン殺人】和久井被告(52)「バイアグラと催涙スプレーを用意していた…」キャバクラ店経営の被害女性をメッタ刺しにした“悪質な復讐心”【求刑懲役17年】
NEWSポストセブン
女優・遠野なぎこの自宅マンションから身元不明の遺体が見つかってから1週間が経った(右・ブログより)
《上の部屋からロープが垂れ下がり…》遠野なぎこ、マンション住民が証言「近日中に特殊清掃が入る」遺体発見現場のポストは“パンパン”のまま 1週間経つも身元が発表されない理由
NEWSポストセブン
幼少の頃から、愛子さまにとって「世界平和」は身近で壮大な願い(2025年6月、沖縄県・那覇市。撮影/JMPA)
《愛子さまが11月にご訪問》ラオスでの日本人男性による児童買春について現地日本大使館が厳しく警告「日本警察は積極的な事件化に努めている」 
女性セブン
フレルスフ大統領夫妻との歓迎式典に出席するため、スフバートル広場に到着された両陛下。民族衣装を着た子供たちから渡された花束を、笑顔で受け取られた(8日)
《戦後80年慰霊の旅》天皇皇后両陛下、7泊8日でモンゴルへ “こんどこそふたりで”…そんな願いが実を結ぶ 歓迎式典では元横綱が揃い踏み
女性セブン
犯行の理由は「〈あいつウザい〉などのメッセージに腹を立てたから」だという
「凛みたいな女はいない。可愛くて仕方ないんだ…」事件3週間前に“両手ナイフ男”が吐露した被害者・伊藤凛さん(26)への“異常な執着心”《ガールズバー店員2人刺殺》
NEWSポストセブン