となると、受け入れ先となる牧場や乗馬クラブなどの施設が圧倒的に足りない。馬は体が大きく、食費などの維持費もかさむ。そのため、人間のために懸命に走ったにもかかわらず、引退後は殺処分されてしまう馬も少なくない。

 そんな現状を踏まえ、『ウマ娘』プロジェクトは、アニメ版の売り上げの一部を引退馬支援に関わる団体に寄付している。さらに自発的に引退馬支援に乗り出す『ウマ娘』ファンもいるようだ。認定NPO法人「引退馬協会」のスタッフはこう語る。

「『ウマ娘』をきっかけに引退馬に対しての関心が高まり、多くの方が入会してくださったり、ご寄付をお寄せくださったりしています。『ウマ娘』でも活躍しているナイスネイチャ、メイショウドトウ、タイキシャトルは、引退馬協会の所有馬として、ハルウララは、当会が対外支援活動として運営サポートを行っている『春うららの会』の所有馬として今も元気に暮らしています。馬たちはご寄付や協会の会員様の会費等を原資として余生を過ごしています。協力していただいている皆さまには大変感謝しております」

 大きなレースを勝った馬でも、誰にも知られないうちにいなくなってしまう。そういうケースがあるのも現実だ。

「馬たちの命運はひとえに人間に左右されています。私たち引退馬協会は、そのような馬を一頭でも救いたいという思いで活動しています。

『ウマ娘』ファンの皆さま、引退馬協会のホームページやサポートホース団体のサイトで馬たちの様子を掲載していますので、ぜひご覧ください。そして、頑張った馬たちの余生を一緒に支えていただければ幸いです」(同前)

『ウマ娘』ファンの「推しキャラ」への愛が、現実の馬を救う。

◆取材・文/原田イチボ(HEW)

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