小林:宮沢さんの場合、怒っているところが面白いと思われていて、冷静に科学的に説明しているところはキャラが出ていないから放送で使わない。テレビの基準なんてそんなもんですよ。
宮沢:いつもこんな感じなので、東京の番組に出るたびに抗議の電話がかかってきたり、ネットに書き込まれるんですね。「暴力団雇って殺す」という脅しの電話や、「何月何日12時にどこそこを爆破する」という爆破予告まであった。その日時に本当にその場所に行く予定があったので、スケジュールがバレているってゾッとしましたよ。
嫌な思いしかしないので、今後は東京のテレビは断わろうかと思ったんですが、東京の番組は全国ネットだから、地方にもコロナへの恐怖感が拡散していくし、政策決定にも影響するんですよ。だから、これがどうにかならんかと思って。
【プロフィール】
小林よしのり(こばやし・よしのり)/ 1953年福岡県生まれ。漫画家。『東大一直線』でデビュー。『おぼっちゃまくん』でギャグ漫画に旋風を巻き起こす。1992年スタートの「ゴーマニズム宣言」は新しい社会派漫画、思想漫画として話題に。近著に、『コロナ論』。
宮沢孝幸(みやざわ・たかゆき)/1964年東京都生まれ。兵庫県西宮市出身。東京大学農学部獣医畜産医学科、東京大学大学院農学生命科学研究科博士課程獣医学専攻修了。獣医学博士。現在、京都大学ウイルス・再生医科学研究所 ウイルス共進化分野准教授。
●2人の対談が収録された『コロナ脳』(小学館新書)は、4月1日発売。
撮影/太田真三
※週刊ポスト2021年4月9日号