『めざまし8』のMCを務める谷原章介
私は放送作家という番組の作り手側として、レギュラー番組やその出演者への“愛”を暑苦しいほど、持っているタイプです。いや、私だけではありません。ある程度、キャリアを重ねた放送作家は、ちゃんと番組を終わらせられて、出演者をちゃんと見送る場面で、あぁ、こういう番組にかかわれて自分は幸せ者だと思うものです。どんな理由で終わる番組だったとしても、どんな事情で卒業するかただったとしても、気持ちよく終わっていただきたい。終わりよければすべてよし……なのでね。
もちろん、“予算”というものがありますから、終わる番組、卒業する人に、そこまでお金をかけられない……というプロデューサーもいます。でも、概して女性プロデューサーの存在感がある番組は、華やかな席を設けてくれるという印象があります。
「乾きものと紙コップに注いだビールを手に会議室で行う打ち上げほど悲しいものはない」とは、某制作会社のベテラン女性プロデューサー。まったくおっしゃるとおりで、そういう打ち上げで乾杯の発声をする出演者には本当に申し訳なくなってしまいます。
実は、見るに見かねた出演者が最後を盛り上げてくださる場合もあるのです。以前、ものすごい年数続いたし、数字もよかった番組が終わることになったとき、打ち上げがないことを知った女性のMCが局の近くの飲食店を貸し切ってくれて、古いスタッフや出演者にまで声をかけ、労ってくれたことがありました。
こういう“想い”、女性の方が強くてすぐれているのかもしれませんね。
「また、このスタッフや演者さんと番組がやりたい」というのは男性プロデューサーが必ずする“ご挨拶”ですが、「そんなことが、あった試しがない」と呆れる演者さん、多数。近年は、一度終了しても“特番”というカタチで年に数回オンエアされる番組が少なくないのですが、やはり、バラエティーや情報番組の類は、長く続けてナンボなので、当初のカタチと別物になったとしても、関係者は続くことを願っているのです。
愚痴や開き直りが最後まで止まらなかった志らくサン
とにかく、今春、これまでにないほど多数の番組が終了し、多くの人気コメンテーターが卒業しました。顕著だったのはテレビ朝日系の『グッド!モーニング』と『羽鳥慎一モーニングショー』。数字がいいうちにチャレンジしたいという作り手側の気持ちはわかりますが、同時にここまで大人数を卒業させる背景には、予算削減も理由としてあるでしょうし、世帯視聴率ではなく個人視聴率や、局によって微妙に異なる“コアターゲット”の存在も重要ポイントかと思います。
そして、番組は生き物なのだと改めて痛感したのは、『とくダネ!』のラスト2週ほどで振り返った同番組の名物企画と、それを背負っていた演者さんの再登場に、でした。