2020年3月からはYouTubeチャンネル「NAOMI CLUB」もスタート。7月にアメリカのシンガーソングライター、レディー・ガガのパロディーMVを投稿すると海外のファンからコメントが殺到したほか、ガガ本人からも称賛の声が寄せられた。チャンネル登録者数は開設から1年ですでに100万人を超えている。
渡米前から海外で活躍するに十分な素地を整えていたのだ。五輪演出問題に大人の対応を見せたところは、多様性を尊重するグローバルな価値観の持ち主だからこそ可能だったのだとも言える。そんな彼女が“世界で通用するエンターテイナー”である理由を、お笑い評論家のラリー遠田氏はこう分析する。
「渡辺直美さんが世界に通用すると言える要素は2つあります。1つは、ビヨンセやレディー・ガガになりきるネタをはじめとして、言葉に頼らないパフォーマンスを得意としていることです。表情や動きで笑いを取ることも上手いので、そんな彼女の芸は日本語を理解できない外国人にも十分伝わるはずです。
もう1つは、類まれなるファッションセンスとモデルとしての魅力があることです。彼女はインスタグラムで日本一のフォロワー数を誇っていて、流行に敏感な女性を中心に熱烈な支持を受けています。服装、メイク、写真の構図やポージングなどから伝わってくる彼女の思想とセンスが愛されています。モデルとしてもインフルエンサーとしても世界に通用する能力を持っていると言えます」
まさに渡辺直美は五輪の開閉会式の舞台に相応しいエンターテイナーだった。その魅力を最大限に活かした、クオリティの高い演出プランであったなら──。
◆取材・文/細田成嗣(HEW)