国内

合唱、友達作り… コロナで小学1年生が直面する様々な「制限」

新型コロナを巡る混乱に翻弄されるなかでの入学も(GettyImages)

新型コロナを巡る混乱に翻弄されるなかでの入学も(写真/GettyImages)

 背筋をピンと伸ばして少し大きめの机と椅子にちょこんと座り、ドキドキしながら黒板を見つめる子供たち。その目はどれも緊張と好奇心に彩られている。それもそのはず、彼らはつい先ほど父や母から離れ、初めてひとりでこの教室に足を踏み入れたのだから──。4月になり、全国の小学校でこんな新入学の光景が繰り広げられている。映画化もされた『みんなの学校』の舞台となった大阪市立大空小学校、初代校長の木村泰子さんが言う。

「生まれて6年、それぞれの家庭や地域でさまざまな価値観を持って生きてきた子供たちが、初めて小さなまとまりとして集うのが入学式後の教室です。先生の指示にすぐに従う子もいれば、椅子に座っているだけで精一杯な子も、勝手に立ち上がる子もいる。大人の世界ではいま盛んに叫ばれる“ダイバーシティー”という言葉ですが、最もふさわしいのは入学式後の教室のように思えます」

 隣の席の子とは仲よくなれるのか、お道具箱はどう使うのか、教科書ってこんなに重いんだ……など誰もが経験した初めてだらけの日々が、激変のときを迎えている。都内で公立小学校の1年生の担任を受け持つ、ある教員(32才)が言う。

「例年なら入学式で新入生と手をつないで『お世話係』を務める6年生の出席が取りやめになり、式典に出たのは一部の教員と新1年生、保護者のみ。これまで入学式が終わると新入生と親は教室で担任から小学校生活を説明されましたが、密を避けるためそれもなし。昨年に続いて少し寂しい新生活のスタートになりました」

 日本人の生活様式を大きく変えたコロナ禍の影響は、当然ながら小学校にも及んだ。特に顕著だったのは、安倍晋三首相(当時)の突然の要請で2020年2月末に始まった全国一斉休校だろう。その期間は最長約3か月に達し、学校再開後も子供たちはさまざまな「制限」に直面した。教育研究家の妹尾昌俊さんが振り返る。

「自治体や学校の感染状況などに応じて違いはあれども、文部科学省の衛生管理マニュアルに基づき、全国の小中学校でコロナ対策が行われました。それによって授業の進め方や学校生活、学校行事は方法や内容が大きく変わり、先生も子供たちも大きなあおりを受けました」

 神奈川・横浜市立日枝小学校の場合、まず断念したのは音楽の授業の「合唱」だった。校長の住田昌治さんが言う。

「その代わりに児童がひとり一言ずつマスクをしたまま小声で合唱曲を歌いましたが、みんなで声をそろえることが叶わない様子は見ていてとても悲しかった。学習発表会なども軒並み中止になり、コロナに翻弄された一年でした」

 休校期間が終わり、時間とともに徐々に平穏な学校生活が戻ってきたが、現場の苦労は絶えない。

「マスク越しでは子供の表情やサインがわかりづらい」

関連記事

トピックス

左:激太り後の水原被告、右:2月6日、懲役刑を言い渡された時の水原被告(左:AFLO、右:時事通信)
《3度目の正直「ついに収監」》水原一平被告と最愛の妻はすでに別居状態か〈私の夢は彼と小さな結婚式を挙げること〉 ペットとの面会に米連邦刑務局は「ノー!ノー!ノー!」
NEWSポストセブン
9月に成年式を控える悠仁さま(2025年4月、茨城県つくば市。撮影/JMPA)
悠仁さまが学園祭にご参加、裏方として“不思議な飲み物”を販売 女性グループからの撮影リクエストにピースサイン、宮内庁関係者は“会いに行ける皇族化”を懸念 
女性セブン
衆院広島5区の支部長に選出された今井健仁氏にトラブル(ホームページより)
【スクープ】自民広島5区新候補、東大卒弁護士が「イカサマM&A事件」で8000万円賠償を命じられていた
週刊ポスト
V9伝説を振り返った長嶋茂雄さんのロングインタビューを再録
【長嶋茂雄さんロングインタビュー特別再録】永久不滅のV9伝説「あの頃は試合をしていても負ける気がしなかった。やっていた本人が言うんだから間違いないよ」
週刊ポスト
“超ミニ丈”のテニスウェア姿を披露した園田選手(本人インスタグラムより)
《けしからん恵体で注目》プロテニス選手・園田彩乃「ほしい物リスト」に並ぶ生々しい高単価商品の数々…初のファンミ価格は強気のお値段
NEWSポストセブン
山尾志桜里氏(=左。時事通信フォト)と望月衣塑子記者
山尾志桜里氏“公認取り消し問題”に望月衣塑子記者が国民民主党・玉木代表を猛批判「自分で出馬を誘っておいて、国民受けが良くないと即切り捨てる」
週刊ポスト
「〈ゆりかご〉出身の全員が、幸せを感じて生きられるのが理想です。」
「自分は捨てられたと思うのは簡単。でも…」赤ちゃんポスト第1号・宮津航一さん(21)が「ゆりかごは《子どもの捨て場所》じゃない」と思う“理由”
NEWSポストセブン
浅草・浅草寺で撮影された台湾人観光客の写真が物議を醸している(Xより)
「私に群がる日本のファンたち…」浅草・台湾人観光客の“#羞恥任務”が物議、ITジャーナリスト解説「炎上も計算の内かもしれません」
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問されている秋篠宮家の次女・佳子さま(時事通信フォト)
《スヤスヤ寝顔動画で話題の佳子さま》「メイクは引き算くらいがちょうどよいのでは…」ブラジル訪問の“まるでファッションショー”な日替わり衣装、専門家がワンポイントアドバイス【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
2013年大阪桐蔭の春夏甲子園出場に主力として貢献した福森大翔(本人提供)
【10万人に6例未満のがんと闘う甲子園のスター】絶望を支える妻の献身「私が治すから大丈夫」オリックス・森友哉、元阪神・西岡や岩田も応援
NEWSポストセブン
ヨグマタ相川圭子 ヒマラヤ大聖者の人生相談
ヨグマタ相川圭子 ヒマラヤ大聖者の人生相談【第24回】現在70歳。自分は、人に何かを与えられる存在だったのか…これから私にできることはありますか?
週刊ポスト
「週刊ポスト」本日発売! 食卓を汚染する「危ない輸入冷凍食品」の闇ほか
「週刊ポスト」本日発売! 食卓を汚染する「危ない輸入冷凍食品」の闇ほか
NEWSポストセブン