芸能

「健ちゃん、大丈夫?」 田中健が振り返る八千草薫さんの思い出

田中健が俳優を始めたときの思い出を語る

田中健が俳優を始めたときの思い出を語る

 映画史・時代劇研究家の春日太一氏による、週刊ポスト連載『役者は言葉でできている』。今回は、歌手としてデビューした田中健が俳優を始めたときの思い出について紹介する。

 * * *
 田中健は高校卒業後に福岡から上京、一九七二年に歌手デビューする。

「卒業してすぐ食べられる道が音楽でした。高校時代からグループサウンズをやっていて、ヤマハのライト・ミュージックという九州のコンテストで優勝したりしていたんです。それで、それなりの知名度はありました。

 大学に行かず、面接を受けなくても食えるのがバンドだった。当時はバンドを掛け持ちすると、大卒初任給が四万円くらいの時代に十万くらい取れていました。悪い仕事じゃなかった。

 そんなことをしているうちにスカウトされました。アイドル歌手で、という話で。二十一歳でデビューして、西城秀樹さん、野口五郎さん、郷ひろみさんの新御三家が同期ですね」

 俳優としてのデビューは七四年のテレビドラマ『春のもつれ』(日本テレビ)だった。

「デビューから少しして、事務所が倒産してしまったんです。それで行く道がなくなり、博多に帰ろうと荷造りをしていたらコロムビアのディレクターさんから電話があって、凄く心配してくれたんです。その方が斎藤耕一監督を紹介してくださって。斎藤監督は『お前、映画をやったら』と言うんです。そんな道があったのかと思いました。これで博多に帰らないで済む、東京に残れると。一回デビューしておいて戻るというのは、嫌なものですから。

 それからは斎藤監督の元の奥様が青山でやっている店で弾き語りをやりました。そこには作家やプロデューサーや監督さんが多く来ていて、それで仕事が入るようになった。

 最初にセリフのある芝居をした相手は八千草薫さんでした。あまりに僕が下手なものだから、大変ご迷惑をおかけして。

 以来、八千草さんにはずっと頭が上がりません。会う度に『健ちゃん、大丈夫?』という顔をして。いつも温かい目で見ていただきました。

 その後の『俺たちの旅』では親子役でしたが、その時の感じを引っ張っているので、本当の親子みたいな感じが出ていたのかもしれません」

関連記事

トピックス

2014年に結婚した2人(左・時事通信フォト)
《仲間由紀恵「妊活中の不倫報道」乗り越えた8年》双子の母となった妻の手料理に夫・田中哲司は“幸せ太り”、「子どもたちがうるさくてすみません」の家族旅行
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(左/Xより)
《大学時代は自由奔放》学歴詐称疑惑の田久保市長、地元住民が語る素顔「裏表がなくて、ひょうきんな方」「お母さんは『自由気ままな放蕩娘』と…」
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《自宅から遺体見つかる》遠野なぎこ、近隣住民が明かす「部屋からなんとも言えない臭いが…」ヘルパーの訪問がきっかけで発見
NEWSポストセブン
大谷翔平(時事通信)と妊娠中の真美子さん(大谷のInstagramより)
《大谷翔平バースデー》真美子さんの“第一子につきっきり”生活を勇気づけている「強力な味方」、夫妻が迎える「家族の特別な儀式」
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(HP/Xより)
田久保眞紀市長の学歴詐称疑惑 伊東市民から出る怒りと呆れ「高卒だっていい、嘘つかなきゃいいんだよ」「これ以上地元が笑いものにされるのは勘弁」
NEWSポストセブン
東京・新宿のネオン街
《「歌舞伎町弁護士」が見た性風俗店「本番トラブル」の実態》デリヘル嬢はマネジャーに電話をかけ、「むりやり本番をさせられた」と喚めき散らした
NEWSポストセブン
横浜地裁(時事通信フォト)
《アイスピックで目ぐりぐりやったあと…》多摩川スーツケース殺人初公判 被告の女が母親に送っていた“被害者への憎しみLINE” 裁判で説明された「殺人一家」の動機とは
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《女優・遠野なぎこのマンションで遺体発見》近隣住民は「強烈な消毒液の匂いが漂ってきた」「ポストが郵便物でパンパンで」…関係者は「本人と連絡が取れていない」
NEWSポストセブン
記者が発行した卒業証明書と田久保市長(右/時事通信)
《偽造or本物で議論噴出》“黄ばんだ紙”に3つの朱肉…田久保真紀・伊東市長 が見せていた“卒業証書らしき書類”のナゾ
NEWSポストセブン
JESEA主席研究員兼最高技術責任者で中国人研究者の郭広猛博士
【MEGA地震予測・異常変動全国MAP】「箱根で見られた“急激に隆起”の兆候」「根室半島から釧路を含む広範囲で大きく沈降」…5つの警戒ゾーン
週刊ポスト
盟友である鈴木容疑者(左・時事通信)への想いを語ったマツコ
《オンカジ賭博で逮捕のフジ・鈴木容疑者》「善貴は本当の大バカ者よ」マツコ・デラックスが語った“盟友への想い”「借金返済できたと思ってた…」
NEWSポストセブン
米田
《チューハイ2本を万引きで逮捕された球界“レジェンド”が独占告白》「スリルがあったね」「棚に返せなかった…」米田哲也氏が明かした当日の心境
週刊ポスト