その頃“ダチョウ倶楽部”の上島がなにかと面倒を見て「竜兵会」なるものを若手達と開いては呑み喰い、そして帰りにタクシー代の小遣いまで渡していた。私ものぞいて呑んだが、何しろ有吉の上島への容赦ない傍若無人なつっこみに腹を抱えた。一切、卑屈さがないのだ。堂々としている。「トップをとった事がある」プライドがそうさせるのだ。
月に1本も仕事の無いその時代、私のラジオのレポーターをやってもらったら、毎週偉い人につっかかっていくその面白さ。若い頃のビートたけしだった。業界は速い。すぐに噂は広まり、有吉はテレビというお座敷にまた呼ばれ出した。
今のテレビ、若手は皆な健全ないい人。有吉だけはいい人にはならないで。
イラスト/佐野文二郎
※週刊ポスト2021年4月30日号