コロナで気づいたオンライン会議のメリット
――昨年から続くコロナ禍で仕事のやり方もずいぶん変わったのではないですか。
吉雄:会議自体もあまり長時間化しないよう、できるだけコンパクトにしようと思っていますが、いろいろな部署のメンバーが一堂に会し、じっくりと話ができたほうが、後々、綻びもないと思うんです。
コロナ禍ということもあって、この1年は会議の多くをオンラインで行いましたが、ウエブ会議の良さも発見できた1年でした。メリットとしては、在宅でのテレワークですから、メンバー各人が出社時以上にゆったりと、より生活者としての目線で話ができることが挙げられます。
もちろん、デザインや販売予算を決めていくような場合はリアル会議のほうが望ましいですが、ターゲットにするお客様の実像をあぶり出していくという点では、より発想が柔軟になる在宅テレワークとの親和性が高いのではないでしょうか。
また、競合他社の皆さんも、きっとそういう蓄積がより積み上がっていますので、業界全体としても消費者インサイトの検証レベルが上がっていると思います。
「オンライン会議の増加で、より生活者としての目線で話ができるようになった」と吉雄氏
多くの議論がヒットに結びついた「オランジーナ」
――横断的なメンバー構成で成功した、過去の代表的な事例にはどんなものがありますか。
吉雄:「金麦」もそうですが、清涼飲料では、フランスのオランジーナ・シュウェップス社を買収(2009年11月)した後、果汁入り炭酸飲料の「オランジーナ」を日本に導入する際も、いろいろな部署のメンバーと話し合いました。
まず商品名について、日本人には聞き慣れないフランス語読みの「オランジーナ」ではなく、“オレンジーナ”のほうがいいのではといった議論もありましたね。
また、容器形状も、フランスではバルビーボトルというんですが、要は電球状の瓶容器で、とても印象的な容器ではあるものの、そのまま日本に持ち込んでも馴染まないことから、デザイナーと何度も試行錯誤し、しっくりくるペットボトル形状に仕上げていきました。
「オランジーナ」は、一度飲んでいただければ非常に美味しいと感じていただける自信がありましたので、ペットボトルのデザインに、フランスの国旗を入れてフランス生まれの商品であることを強調したりと、できる限りのことをやって、結果としてヒットにつながりました。