ビジネス

サントリーワイン女性社長が語る「良いパフォーマンスを生むチーム論」とは

サントリーワインインターナショナル社長の吉雄敬子氏

サントリーワインインターナショナル社長の吉雄敬子氏

 酒類業界といえばかつては男性社会のイメージが強かったが、時代の変遷とともに、リーダーとしても女性の活躍の場が広がってきている。サントリーホールディングスも、たとえばグループ会社のハーゲンダッツジャパンは女性社長で、昨年はサントリースピリッツ大阪工場で同社初の女性工場長も誕生。さらに今年1月、グループの酒類事業会社で初の女性トップとなったのが、サントリーワインインターナショナルの吉雄敬子社長である。同氏が考える「良いパフォーマンスを生むチーム論」とは。

――学生の人気企業ランクで毎年上位に選ばれるサントリーですが、吉雄さんはどんな就職活動をされましたか。

吉雄:業種選定にあたっては、お酒や飲料といったこだわりより、学生だった私でも理解しやすい商品を扱っている企業に絞り就職活動をしました。漠然と消費財メーカーに入社できたらいいなと思っていたので、サントリーだけでなく、化粧品会社などの入社試験も受けました。

 私がサントリーに入社したのは1991年。就活した年はまだバブル経済が弾ける前で、景気がいい時代でもありました。

 私より4、5年先輩の方まではいろいろご苦労も多かったのではないかと思いますが、1986年に男女雇用機会均等法が施行されたことで、女性が働きやすい会社かそうでないかの議論も多くなり、均等法施行以降は、女性の働きやすさを掲げる企業も増えていきました。

 ただ、サントリーは昔から女性が働きやすい自由闊達な会社として有名でしたし、当時、ワイン事業部(※サントリーが持ち株会社化して事業会社をぶら下げるようになったのは2009年から)で働いていた大学の先輩からも、「のびのびと仕事ができて、いいわよ、サントリーは」と直接、話を聞いていたことも大きかったと思います。

チームでの開発に欠かせない「生活者の目線」

――これまで多くの商品開発チームを率いてきたと思いますが、もっとも大事にしてきたことは何ですか。

吉雄:お客様がどんな点にご不満を持ち、どんなことを商品に求めていらっしゃるのかといった点について、常に消費者起点の発想でしっかり話し合うことです。チームのメンバーが4、5人も集まれば、年代の幅も20代から40代まで広がりますが、ターゲット層であるお客様の像を、よりはっきりしたものにしていくためにも、メンバー個々人に自分の話もしてもらっています。

 たとえば「夫婦でスーパーに行く?」「いや、僕は行きません」「なぜ一緒には行かないの?」といった、普段の何気ない行動についての話でもいいのです。

 自分たちの1人の生活者としての行動と、ターゲット層にしているお客様の重なり合う部分、あるいは違う部分をよく検証していくことで、お客様の像が可視化できるようになってくる。だから、チームのメンバー全員、お客様についてのディスカッションをする際は、自分の話や体験、経験なども交えながらするという点は心がけています。

 そして大事なのは、たとえば話し合うメンバーをマーケッターだけに限定してしまうのではなく、商品の中身を設計するメンバーやデザイナーなど、いろいろな部署から集まってもらうこと。この方法は昔から一貫していますが、私は今もそのやり方がいいと思っています。

関連記事

トピックス

全国でクマによる被害が相次いでいる(AFLO/時事通信フォト)
「“穴持たず”を見つけたら、ためらわずに撃て」猟師の間で言われている「冬眠しない熊」との対峙方法《戦前の日本で発生した恐怖のヒグマ事件》
NEWSポストセブン
韓国のガールズグループ「AFTERSCHOOL」の元メンバーで女優のNANA(Instagramより)
《ほっそりボディに浮き出た「腹筋」に再注目》韓国アイドル・NANA、自宅に侵入した強盗犯の男を“返り討ち”に…男が病院に搬送  
NEWSポストセブン
ラオスに到着された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月17日、撮影/横田紋子)
《初の外国公式訪問》愛子さま、母・雅子さまの“定番”デザインでラオスに到着 ペールブルーのセットアップに白の縁取りでメリハリのある上品な装い
NEWSポストセブン
ドジャース入団時、真美子さんのために“結んだ特別な契約”
《スイートルームで愛娘と…》なぜ真美子さんは夫人会メンバーと一緒に観戦しないの? 大谷翔平がドジャース入団時に結んでいた“特別な契約”
NEWSポストセブン
山上徹也被告の公判に妹が出廷
「お兄ちゃんが守ってやる」山上徹也被告が“信頼する妹”に送っていたメールの内容…兄妹間で共有していた“家庭への怒り”【妹は今日出廷】
NEWSポストセブン
靖国神社の春と秋の例大祭、8月15日の終戦の日にはほぼ欠かさず参拝してきた高市早苗・首相(時事通信フォト)
高市早苗・首相「靖国神社電撃参拝プラン」が浮上、“Xデー”は安倍元首相が12年前の在任中に参拝した12月26日か 外交的にも政治日程上も制約が少なくなるタイミング
週刊ポスト
相撲協会の公式カレンダー
《大相撲「番付崩壊時代のカレンダー」はつらいよ》2025年は1月に引退の照ノ富士が4月まで連続登場の“困った事態”に 来年は大の里・豊昇龍の2横綱体制で安泰か 表紙や売り場の置き位置にも変化が
NEWSポストセブン
三重県を訪問された天皇皇后両陛下(2025年11月8日、撮影/JMPA)
《季節感あふれるアレンジ術》雅子さまの“秋の装い”、トレンドと歴史が組み合わさったブラウンコーデがすごい理由「スカーフ1枚で見違えるスタイル」【専門家が解説】
NEWSポストセブン
俳優の仲代達矢さん
【追悼】仲代達矢さんが明かしていた“最大のライバル”の存在 「人の10倍努力」して演劇に人生を捧げた名優の肉声
週刊ポスト
10月16日午前、40代の女性歌手が何者かに襲われた。”黒づくめ”の格好をした犯人は現在も逃走を続けている
《ポスターに謎の“バツ印”》「『キャー』と悲鳴が…」「現場にドバッと血のあと」ライブハウス開店待ちの女性シンガーを “黒づくめの男”が襲撃 状況証拠が示唆する犯行の計画性
NEWSポストセブン
全国でクマによる被害が相次いでいる(右の写真はサンプルです)
「熊に喰い尽くされ、骨がむき出しに」「大声をあげても襲ってくる」ベテラン猟師をも襲うクマの“驚くべき高知能”《昭和・平成“人食い熊”事件から学ぶクマ対策》
NEWSポストセブン
オールスターゲーム前のレッドカーペットに大谷翔平とともに登場。夫・翔平の横で際立つ特注ドレス(2025年7月15日)。写真=AP/アフロ
大谷真美子さん、米国生活2年目で洗練されたファッションセンス 眉毛サロン通いも? 高級ブランドの特注ドレスからファストファッションのジャケットまで着こなし【スタイリストが分析】
週刊ポスト