書き続けた

熱海の自宅で最期まで執筆を続けた。近所の住民によれば、木の伐採をするときも「すべて切らずに、気が死なないようにしてほしい」と頼むなど、自然を大切にしようととする姿が印象的だったという(2014年11月)

 線引きされた人間関係を築きながら、終活にもぬかりなかった。特にこだわったのは、自宅で最期を迎えたいという願望だ。

《もちろん自宅で死にたい。私は病院が嫌いなんです。家の中で倒れても救急車は呼ばないで、と周囲にも伝えています》

 橋田さんはそんなふうに「在宅死願望」を2017年、本誌・女性セブンに明かしている。

 立川在宅ケアクリニック院長の荘司輝昭さんは在宅死を希望する場合、表明しておくことの重要性を指摘する。

「きちんと自分の意思がわかるようにしておかなければ家で意識を失ったとき、救急車を呼ばれてしまい病院に搬送され、延命治療が行われることになる。自宅で最期を迎えたいなら、しっかり看取りまでしてくれる主治医との関係をつくっておくことが重要です」

 死に方に加え、死後の身の振り方も、橋田さんは完璧に手配していた。かつて女性セブンのインタビューに答えた橋田さんは、亡き姑から「壽賀子はうちのお墓に入れない」と言い渡されたことを明かしたうえで、こう話していた。

《夫婦が一緒になれるお墓を静岡に購入して、そこにはお骨の代わりにふたりの記念品を入れようと思っています。主人が愛した時計と、主人から贈られた私の大切な時計です。それで仲よく収まるつもりです》

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