いまはふたり、穏やかな時を刻んでいるのだろう。夫の岩崎嘉一さんとの仲を取り持った石井さんが当時を振り返って語る。
「いつもすぐに脚本を上げてくる橋田さんから急に『書けない』と連絡が来たんです。『どうしたの、体調が悪いの?』と聞くと『違うの、好きな人ができて、本が書けない』とポツリ。あまりのことに『え~? あなたでもそんなこと言う?』って言っちゃった(笑い)。とにかく本が上がらないと困るから、『どなた?』と聞いて、幸い同じ職場だったから、電話して、『橋田壽賀子さんがあなたのことが好きになっちゃって、書けなくなって困ってるのよ』って伝えて、それがきっかけで交際が始まりました。(夫の)岩崎(嘉一)さんはわりあいワンマンで、橋田さんは『夫の前では仕事をしない』と自分に課して会社に行っている間に一生懸命書いていました。だからこそあんなに面白い作品が書けたのだと思います」
国民的ドラマの女王は、自身の生涯も、拍手喝采の大団円で幕を下ろした。
※女性セブン2021年4月29日号