右膝を再手術して5月場所も全休となる白鵬は、これで6場所連続休場となる。番付が下がることのない角界の最高位にありながら「休みすぎ」であるとの批判も当然だ。提言書の末尾には各委員の見解が掲載されており、但木敬一元検事総長の言葉は辛辣だ。
〈一場所休場して次の場所に出てきて優勝するのはすごいけれども、自分の都合のいい時だけ出場して都合の悪い時は休場してもいいんだと、それが横綱の権利だと考えているのではないかとも感じます。日本人の横綱には全くなかったことが起きてしまっています〉
〈日本人は「察する文化」で、空気を察して自分の進退を決めていきますが、外国出身の力士のなかには「権利の文化」で育った人たちもいて、こうした人たちは周囲の空気を察して自分から下りるということがありません。このような人たちにどうやって日本の文化を伝え、相撲道を理解させていくのか、本当に難しい〉
7月場所に進退を懸けることになる白鵬は、すでに年寄名跡襲名の条件である日本国籍を取得しており、炎鵬や石浦といった内弟子も集めている。
「引退後への準備を着々と進めているが、今回の提言書で白鵬の悲願であった一代年寄襲名が阻止されたとなれば、年寄株をどう調達するかという問題がいよいよ迫ってくる。横綱は引退後、5年間は年寄名跡を襲名せずに現役名で協会に残れるが、その間に年寄株の手配をしなければならない。協会内には白鵬が親方として残ることに批判的な意見も多く、白鵬に年寄名跡を回す動きは、今のところない」(若手親方)
歴代最多優勝の横綱の引退後が、また霧の中に隠れてしまった。