生き残りのカギは「浮つかないビジョン」
ベッセルホテルズでは、大規模チェーンが席巻するビジネスホテル業界の中で、以前から明確にターゲットを絞ってきたブランドとして際立ってきた。インバウンド活況下では、黙っていても予約が入ってくる好況が常識であったが、いかに訪日外国人旅行者を取り込むか、常に策を練ってきた。
ただ、外国人だけでなく、日本人旅行者・リピーターあってのホテルという考えの下、インバウンド率もできる限りコントロールしてきたという。“あなたと家族と街を愛する”をホテルのビジョンとして掲げているあたり、確かに地域密着を志す経営方針もうかがえる。
朝食やビジョンばかりではない。特に新しいベッセルホテルの店舗はデザイン性の高さも特色だ。多くの人気ホテルを手がけるUDSのクリエイティブディレクター、中原典人氏とタッグを組んでホテルを開業させてきた。新規出店の度にコンセプトが洗練されていくのも、ホテル作りのトレンドと言えよう。
今回、2つのホテルブランドを例示したが、コロナ禍の前から浮つくことなくビジョンとコンセプトを究め、底堅くリピーターに支持されてきたホテルブランドは、今後も生き残っていくだろう。