2014年の松山英樹(写真/AFLO)
その足回りに相当するのは「身体の柔軟性」(高島氏)。つまり、関節の可動域の広さだ。かつては筋肉を大きくすることばかりに重きが置かれていたが、現在の理論では、可動域を広げるトレーニングも重視されている。
大谷、松山が成功できた理由もこの「柔軟性」にある。松山はプロ転向1年目で故障したことをきっかけに、近年は入念なストレッチを心がけている。元々体が硬かったが、現在は直立状態から両足を前後に180度開脚できるほど股関節が柔らかくなった。
一方、大谷の身体の柔軟性は日本時代から有名だ。両手の甲を腰に当てながら、両肘を正面に向けることができるほど肩関節の可動域が広い。大谷も松山も、強くて大きいだけではなく、“しなやかさ”も兼ね備えた肉体を武器に闘っているのだ。
「心・技・体」という名言があるが、世界で戦うアスリートに求められる順番は「体・技・心」。そんな時代がやってきている。
文/田中周治
※週刊ポスト2021年5月21日号
2021年の松山英樹(写真/AFLO)