大ボラを現実にしてしまう男
今回は天才イーロン・マスクの変わった発言を取り上げたが、それの何十倍も、価値があって、先進性に富んだ発言もしていることを付け加えておく。イーロンは言葉以上に、行動で結果を出してきたからだ。
テスラを創業した時、「電気自動車なんて、売れないよ」と大手自動車メーカーは嘲笑ったが、それら大手自動車メーカーは、今になって慌ててEV化に舵を切っている。2020年、テスラの時価総額はトヨタを越えて世界一の自動車メーカーとなった。
スペースXが登場した時、「ベンチャー企業なんかにロケット開発が出来るもんか」と馬鹿にした大手宇宙ロケット企業は、年間のロケット打上げ回数ですでにスペースXに先を越されてしまっている。いまや、スペースXの企業価値は10兆円とも言われる。
大ボラを吹いて、失敗を山ほど繰り返し、それでも大ボラを吹き続け、終いには大ボラを現実にしてしまう男──。それがイーロン・マスクだ。これからもこの男の言動から目が離せない。
【プロフィール】
竹内一正(たけうち・かずまさ)/作家、コンサルタント。徳島大学院修了。米国ノースウェスタン大学客員研究員。パナソニックで新製品開発、海外事業を担当。アップルでマーケティングに従事。メディアリング代表取締役などを歴任。その後、コンサルティング事務所「オフィス・ケイ」代表。シリコンバレーのハイテク情勢に精通。著書に『アップル さらなる成長と死角』(ダイヤモンド社)、『イーロン・マスク 世界をつくり変える男』(ダイヤモンド社)、『世界で最もSDGsに熱心な実業家 イーロン・マスクの未来地図』(宝島社)など多数。