「火星ロケットでは多くの死者が出る」

 最近の極めつけの発言がこれだ。

「(火星に行く旅の途中で)たぶん、多くの人が死ぬだろう」

 2021年4月にXプライズ財団の創設者兼会長、ピーター・ディアマンディスとのインタビューでのことで、スペースXが目標としている火星移住旅行に関する発言だった。そして、「火星旅行は、快適ではないし、期間は長いし、生きて帰れないかもしれない」と語った。

 ただし、この旅行計画は「志願する人だけだ」と付け加えることも忘れなかった。ちなみに、スペースXは2026年までの火星への有人着陸を目標としている。

 だが、宇宙で死ぬかもしれないと聞くと、“志願者”なんていないだろうと私たちは思ってしまう。それを見透かしたかのようにイーロンは、20世紀初頭に英国人冒険家のアーネスト・シャクルトンが出した、南極探検の隊員募集の新聞広告について語っている。

 その広告には「人材募集。困難な旅、低い賃金、死ぬほど寒く、何か月も続く暗闇、毎日が危険と隣り合わせ、生還の可能性は低い」などの悲惨な説明が並び、最後に、「運よく成功したあかつきに得られるものは、歴史に名を遺すこと」と書かれていた。しかし、この求人には5000人以上の応募があったと伝えられる。

 20世紀初頭の貧しい時代のことだったからだと捉える人がいるかもしれない。だが、21世紀でも似たようなことはあった。

 火星移住を目指したオランダの民間組織マーズワンが、2013年に火星移住希望者を募集したのだが、なんと約20万人の応募があったそうだ。私たち日本人が思っているよりも、冒険したい人間は世界中にたくさんいるようだ。

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