TBSが極端に低迷している理由
新番組の低迷と、その理由を掘り下げる上で1つふれておきたいのは、今春の改編で放送時間を移動した番組の視聴率。こちらもかなり厳しい結果が出ているのです。
『アイ・アム・冒険少年』(TBS系)個人4.0%、2.7%、4.0%、2.2% 世帯6.8%、4.8%、6.5%、3.9%。
『CDTV ライブ!ライブ!』(TBS系)個人2.8%、3.1% 世帯4.7%、5.0%。
『教えてもらう前と後』(TBS系)個人1.8%、2.5%、2.2%、2.2%、2.3% 世帯3.3%、4.7%、4.2%、4.0%、4.4%。
『家事ヤロウ!!』(テレビ朝日系)個人4.9%、5.1%、5.3%、5.8% 世帯8.9%、9.5%、9.7%、10.1%。
『バナナサンド』(TBS系)個人4.3%、3.9%、3.5%、2.1% 世帯7.1%、6.7%、5.4%、3.6%。
新番組も時間移動した番組も、そろって低迷しているのは、今春の改編がうまくいっていないことの表れ。なかでもTBSはテレビ東京を下回り、民放最下位に転落することも珍しくないなど極端な低迷が見られます。
ここまで数字が下がってしまった理由として考えられるのは、主に以下の2つ。まず1つ目は、「各局がこぞってファミリー層狙いの戦略に切り替えたことで視聴率を取りづらくなった」ことが挙げられます。
各局のファミリー層狙いはスポンサーのニーズによるものであり、ビジネスである以上この戦略は当然でしょう。しかし、各局がファミリー層狙いの戦略に集中しすぎたことで、限られたパイを奪い合うような状態になっているのです。
高齢化社会が進む中、「視聴率は50歳以上の影響力が極端に大きい」と言われ、特に「65歳以上の高齢者が見る番組は高くなる」という傾向もあり、だからこれまで医療・健康、生活情報、クイズなどの番組が量産されてきました。一方、ファミリー層向けの番組は対象人数の少なさやネットコンテンツとの競合などで、高齢者向けの番組ほど視聴率が取れません。そのため、よほど話題性のある番組でない限り、今回くらいの数値まで落ちても不思議ではないのです。
民放各局のなかでもTBSは、今春から重点ターゲットを10歳若返らせて4歳~49歳に設定しました。日本テレビとフジテレビの13歳~49歳と比べても若い層も狙っているため、必然的に視聴率という結果を得にくくなっているのです。