国内

スギHD会長「ワクチン便宜」の真相 現場の拒否を市の幹部はねじ曲げた

愛知県西尾市は謝罪に追い込まれた(写真/共同通信社)

愛知県西尾市は謝罪に追い込まれた(写真/共同通信社)

「報道では私と副市長が相談して予約確保に至った、となっていますがそれは事実とは異なります」。そう話すのは愛知県西尾市健康福祉部の簗瀬貴央部長だ。

 愛知県に本社を置き、全国で「スギ薬局」を展開する「スギHD」創業者の杉浦広一会長(70)、昭子相談役(67)夫妻の新型コロナワクチン接種の予約枠確保について西尾市が便宜を図った問題では、「“上級経営者”の特権ではないか」と猛烈な反発が広がった。

 5月11日の市の謝罪会見では、予約枠確保の判断は「部長が副市長に相談」し「副市長が便宜を図るよう指示した」と説明されたが、会見で自ら頭を下げた簗瀬部長は「その場ではそう説明したものの、改めて思い返すと正確ではない」と明かした。

「スギHDから予約枠の依頼があった際、現場の人間が『できません』とお答えしてもしつこく連絡がくるので私が対応した。こうした横入りは認められないから、明確にお断わりしました。

 私はそれを副市長(近藤芳英氏)に報告しただけで、相談はしていない。市長や副市長にクレームが行くかもしれないので、『すでにお断わりしたが、こういう件がありました』と報告した。そうしたら、副市長が“政治的な判断”をしてしまった」

 現場の判断を上層部がねじ曲げたとする証言だ。

 たしかに、グループで1200店舗以上を展開し、連結売上高5000億円超を誇るスギHDを一代で創り上げた杉浦会長の影響力は甚大だろう。

 同市は創業の地であり、スギ薬局1号店跡地に「西尾市民げんきプラザ」を建設して市に無償貸与するなど、地元への“貢献”は大きい。近藤副市長は会見で、「何らかの形でお返しできないか」と考えたと釈明している。

 反発を受けるのは当然だが、火に油を注いだのがスギHDの謝罪のプレスリリースだった。

 そこでは、肺がんで手術経験のある昭子相談役のため、秘書が杉浦会長の与り知らぬところで、〈使命感ゆえ〉予約確保に動いたと説明された。杉浦会長は、〈過去にアナフィラキシーショックを経験しており、ワクチン接種は希望しておりません〉ともある。

関連記事

トピックス

炊き出しボランティアのほとんどは、真面目な運営なのだが……(写真提供/イメージマート)
「昔はやんちゃだった」グループによる炊き出しボランティアに紛れ込む”不届きな輩たち” 一部で強引な資金調達を行う者や貧困ビジネスに誘うリクルーターも
NEWSポストセブン
ゆっくりとベビーカーを押す小室さん(2025年5月)
小室眞子さん“暴露や私生活の切り売りをビジネスにしない”質素な生活に米メディアが注目 親の威光に頼らず自分の道を進む姿が称賛される
女性セブン
組織改革を進める六代目山口組で最高幹部が急逝した(司忍組長。時事通信フォト)
【六代目山口組最高幹部が急逝】司忍組長がサングラスを外し厳しい表情で…暴排条例下で開かれた「厳戒態勢葬儀の全容」
NEWSポストセブン
藤浪晋太郎(左)に目をつけたのはDeNAの南場智子球団オーナー(時事通信フォト)
《藤浪晋太郎の“復活計画”が進行中》獲得決めたDeNAの南場智子球団オーナーの“勝算” DeNAのトレーニング施設『DOCK』で「科学的に再生させる方針」
週刊ポスト
手を繋いでレッドカーペットを歩いた大谷と真美子さん(時事通信)
《「ダサい」と言われた過去も》大谷翔平がレッドカーペットでイジられた“ファッションセンスの向上”「真美子さんが君をアップグレードしてくれたんだね」
NEWSポストセブン
「漫才&コント 二刀流No.1決定戦」と題したお笑い賞レース『ダブルインパクト』(番組公式HPより)
夏のお笑い賞レースがついに開催!漫才・コントの二刀流『ダブルインパクト』への期待と不安、“漫才とコントの境界線問題”は?
NEWSポストセブン
パリの歴史ある森で衝撃的な光景に遭遇した__
《パリ「ブローニュの森」の非合法売買春の実態》「この森には危険がたくさんある」南米出身のエレナ(仮名)が明かす安すぎる値段「オーラルは20ユーロ(約3400円)」
NEWSポストセブン
韓国・李在明大統領の黒い交際疑惑(時事通信フォト)
「市長の執務室で机に土足の足を乗せてふんぞり返る男性と…」韓国・李在明大統領“マフィアと交際”疑惑のツーショットが拡散 蜜月を示す複数の情報も
週刊ポスト
中核派の“ジャンヌ・ダルク”とも言われるニノミヤさん(仮称)の壮絶な半生を取材した
高校時代にレイプ被害で自主退学に追い込まれ…過去の交際男性から「顔は好きじゃない」中核派“謎の美女”が明かす人生の転換点
NEWSポストセブン
白石隆浩死刑囚
《死刑執行》座間9人殺害の白石死刑囚が語っていた「殺害せずに解放した女性」のこと 判断基準にしていたのは「金を得るための恐怖のフローチャート」
NEWSポストセブン
ゆっくりとベビーカーを押す小室さん(2025年5月)
《小室圭さんの赤ちゃん片手抱っこが話題》眞子さんとの第1子は“生後3か月未満”か 生育環境で身についたイクメンの極意「できるほうがやればいい」
NEWSポストセブン
中核派の“ジャンヌ・ダルク”とも言われるニノミヤさん(仮称)の壮絶な半生を取材した
【独占インタビュー】お嬢様学校出身、同性愛、整形400万円…過激デモに出没する中核派“謎の美女”ニノミヤさん(21)が明かす半生「若い女性を虐げる社会を変えるには政治しかない」
NEWSポストセブン