話題集める近大マグロ、つんくプロデュース入学式
とはいえ、入試方式の変更だけで志願者が集まる時代は終わっている。やはり、それ以外に魅力がないと、受験生は受けない。
近畿大では研究力の高さも評価されている。クロマグロの完全養殖、ウナギ味のナマズの開発など、水産研究所の研究成果を受験生や保護者にわかりやすく伝えたことで注目度が高まった。どこの大学も研究に力を入れているが、一般的にはわかりにくい。それをわかりやすく広報したことも評価される。
学内でソーシャルディスタンスを保つために近大マグロの模型が登場(時事通信フォト)
卒業生のつんく♂さんがプロデュースした入学式も大変な話題になった。狙いは他大学を不合格になって入学してきた学生も少なくなく、その学生が近畿大で頑張ろうという気持ちにさせるイベントという位置づけだ。
受験難化、コロナ禍で敬遠される懸念も
入試の面でも日本で初めて出願をすべてネットに切り替えた。今では私立大のほとんどがネット出願だ。
このような改革の取り組みが近畿大志願者増の要因と見られる。近畿大の人気はまだまだ続きそうだ。
ただ一方で、志願者が増えれば難化することも確かで、敬遠する動きも出ていると見られている。それが3年連続の志願者減につながっているともいえる。
コロナ禍の影響もあって、多くの受験生が集まるオープンキャンパスも開催されていない。盛りだくさんの企画は高校生目線のものばかりで、他大学ではお目にかかれないイベントも多い。このコロナ禍もとりわけ近畿大にとっては痛手なのではないか。来年、志願者がどうなっていくのか注目されよう。
●文/安田賢治(大学通信常務取締役)