香織は女性として生きることを妻に受け入れられず、離婚。20代の女性「マツボックリ」になりすまし、SNS上で高校生の娘を見守っていた。二折班が「こどもたちのSNS事情」特集で動く最中、無理して仲間に合わせる苦しさを訴える娘を心配した香織は、風未香に「マツボックリ」になりすまして、娘に会ってほしいと頼む。
「自分が自分でいることが大事」とアドバイスしながら、自身は娘に会う勇気が出ない香織。そこでいい味を出すのが、宝子だ。宝子は、香織が初めて女子トイレに入った日などの体験を「トランスジェンダー初めてシリーズ」という記事にしようとにこにこと言い出すのだ。こういう記事を「待ってる人はいる」。宝子の言葉は短いが、優しい。
こうした人間模様とSNS上でのなりすましの危うさやトランスジェンダーとして生きることなど、社会の中のテーマを重ねながら、「自分が自分でいることとは」と問いかける。他にも出張ホストの実態を探ったり、物を捨てると幸せになれるのか考えたりしてきたが、どんなテーマでも、ズバッと答を求めたり、考え方が異なる相手を否定したりしない。そこがうまい。
これまでにもスクープを追う雑誌記者やファッション誌編集者のドラマはあったが、身近な生活情報ページの編集班の仕事から見えてくる世界は新鮮だ。身近なんだから知ってるよと思ったら、なんにも知らなかったーと思うこともしばしば。このコラムの担当編集者Oさんも「二折に目をつけたところは鋭い」と語っていた。二折班に取り上げてほしいテーマは、まだまだたくさんある。