「離乳食は好き嫌いなく食べてくれます」(和さん)(写真/本人提供)

「離乳食は好き嫌いなく食べてくれます」(和さん)(写真/本人提供)

母と妹が号泣していて「ああダメだったんだな」

 2018年11月。和さんは、医師から手術をすすめられていた。2度目の手術をするべきか――思い悩む和さんを後押ししたのは将一さんだった。

「痛いし、大きな傷が残るし、手術は嫌だったんです。でも、遠藤さんに『もしいま手術しないで将来再発したら、落ち込んで立ち直れないと思う』って言われて。未来のダーリンを救うために手術しようと前向きになれたんです」(和さん)

 2018年11月30日、手術の日─—しかし、手術はできなかった。がんが予想以上に進行していたのだ。

「お腹を開いてみて、腹膜播種がみられたら手術は中止します、とは事前に言われていました。麻酔からさめたら母と妹が号泣していて『ああダメだったんだな』と悟りました」(和さん)

 新たな診断結果は、「ステージIVの大腸がん」。これには将一さんも動揺したと話す。

「先月の時点ではステージIIだったのに……。ステージIVって、がんの進行の終わりの方なんですよ。さすがにショックで、その日はふたりで一緒に泣きました」

 大腸がんを患う女性は統計上多い。国立がん研究センターによると、女性のがん部位別の死亡数(2019年)で最も多いのが「大腸」。次いで肺、膵臓、胃、乳房と続く。罹患数(2017年)でも乳房に次ぐ2位だ。一方、男性の場合、死亡数、罹患数ともに3位だ。

 和さんは21才という若さで大腸がんが発覚した。診断が遅れた理由として「年齢」があるようだ。医療ジャーナリストの鳥集徹さんが解説する。

「大腸がんは50~60代以降に多い病気で、10〜20代の女性が大腸がんになるのは、かなりのレアケースといっていい。がんの発見前に診察にあたった医師も、彼女の年齢から、がんの可能性を除外してしまったのでしょう」

【後編】(30日16時配信予定)に続く

取材・文/土屋秀太郎

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※女性セブン2021年6月10日号

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