高くなり過ぎた価格に需要追いつかず
しかし、今回の「広さと部屋数」を増やすという潮流変化が市場に受け容れられるかというと、それはまだ分からない。なぜなら、「広さと部屋数」を増やせば当然販売価格も高く設定せざるを得ない。その価格に需要層はついてこられるのかという究極の問題があるのだ。
これに対する答えは、あと半年も経たずに判明するはずだ。すでにある程度の答えは見え始めている。
東京の都心でも大阪の中心エリアでも、新築マンションの売れ行きは芳しくない。今年の春先までは、それでもまだ少しだけ動いていた気配を感じた。
しかし新年度入りして2か月近くが経過した今、動きは鈍っている。やはり、高くなり過ぎた価格に需要層が付いてきていないのだ。
実はコロナ禍が始まった2020年の間も、首都圏ではマンション事業用地の値上がり基調が続いていた。その結果、今年売り出される新築マンションの価格は昨年よりも値上がりしているケースが多い。
そうでなくても、コロナ前の2019年には新築マンション市場の需給がかなり厳しい状況だった。ただ、2020年は持続化給付金や融資条件の緩和という「コロナ特需」があったので、東京都心の不動産市場では投資家向けの利回り物件等を中心に活発な取引が行われていた。