藤沢和雄調教師

グランアレグリアを管理する藤沢和雄調教師(右)

 しかし、短距離GⅠを総なめにしたグランアレグリアは、今年中距離路線へ進出を公言していた。ならば、今年の最大目標は天皇賞(秋)のはず。そのためには暑い時期に行なわれる阪神競馬場内回りの宝塚記念など使わず、早めに休養に出すというプランでヴィクトリアマイルを含めた1シーズンGⅠ3走というローテーションを組んだのではないか。大きく崩れることは考えにくいが、それなら「目標はまだ先」だ。

 ところでNHKマイルカップの勝ち馬はのべ28頭が安田記念に出走しているが、勝った馬は1頭もいない。しかし安田記念の勝ち馬のうち、3歳春にNHKマイルカップに出走していたという馬は5頭もいる。最高着順は3歳で勝ったリアルインパクトの3着で、エアジハードは8着、アグネスデジタルは7着、ジャスタウェイは6着だった。マイルに適性ありと見込まれながら、本格化には少し時間がかかったのだろう。昨年の覇者グランアレグリアもNHKマイルカップでは5着(降着)だった。

 2年前のNHKマイルカップで直線大外から飛んできたケイデンスコールが忘れられない。4歳時は様々な距離を走って結果が出なかったが、その経験を糧に今年は別馬のようになった。鞍上も内心期するところがありそうだ。

 そのNHKマイルカップで内を縫うように抜けてきたカテドラルも要チェック。こちらもやや足踏みしたが、ようやく手の合う鞍上に出会ったような印象。3歳馬シュネルマイスターはNHKマイルカップを勝っているが、3歳での出走といえばリアルインパクト、4キロ差は大きい。

 日高の馬ではダノンプレミアム。デビューからGⅠを含む4連勝という素質馬に復活の兆しが見える。安田記念では2年連続して二桁着順に沈んでいるのが気になるが、朝日杯フューチュリティステークス以来のGⅠ勝ちとなれば、あのアドマイヤコジーンとまったく同じ快記録だ。

●ひがしだ・かずみ/伝説の競馬雑誌「プーサン」などで数々のレポートを発表していた競馬歴40年、一口馬主歴30年、地方馬主歴20年のライター。

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