人出が多い週末の新宿。9都道府県の緊急事態宣言を6月20日まで延長した菅義偉首相の記者会見を映す街頭モニターの下を歩く人たち(時事通信フォト)

人出が多い週末の新宿。9都道府県の緊急事態宣言を6月20日まで延長した菅義偉首相の記者会見を映す街頭モニターの下を歩く人たち(時事通信フォト)

「消毒なんか一切しませんし、客もキャストもノーマスクでお酒を飲みながら大騒ぎ。キャスト用の狭い待機室もコロナ前の密のまま。みんな感染を気にして待機室では黙ってすごしていますが、いつ感染するのか、もう運次第かなって思います」(岡本さん)

 東京都内のラウンジ店勤務・坂本七海さん(仮名・10代)もまた、最近、かつて勤務していたラウンジ店に呼び戻されたという一人。

「コロナでもなんとか潰れずに店は生き残っていましたが、店長は今こそ稼ぎどきだ、と女の子にものすごい負担を押し付けてきます」(坂本さん)

 外には人が溢れているだろう、ということで、復帰当日に坂本さんが命じられたのは、店の外に出ての客の「キャッチ」。店から少し離れたところにある闇営業中の居酒屋周辺に立ち、酒に酔った客に手当たり次第に声をかけるのだという。

「酔ったお客さんが一番狙いやすいのですが、こうした時期に飲んでいる人だから、当然感染対策なんか全く気にしていない人ばかり。キャッチしているお前がいうな、って言われるかもしれませんが、コロナのおかげでコンビニのアルバイトですら簡単には採用してくれません」(坂本さん)

 働いて感染して命を危険にさらすか、働かずして飲まず食わずで命を落とすのか。一緒にキャッチに励む同僚たちと悲痛な面持ちで街角に立ち続けているのだ。

 二人が感じているのは、感染者数が減少したとはいえまだ予断を許さない状況の中で、社会が無理矢理に「通常」に戻ろうとしていることへの違和感だ。側から見れば、闇営業をしている店も、そこにいく客も、キャバクラ店や性風俗店で働く人も客も、感染を気にしていないかのようにも思える。だが、気にしていないからやってきているはずの客ですら「今の状況はおかしいよね」などと呟きながら、グラスを傾けているという現状だ。

 都市部を中心に緊急事態宣言下、ワクチンの接種率もまだ低く、医療ひっ迫が深刻だと伝えられている。日々、発表される新規感染者数が減少傾向にあるとはいえ、危険な状態は抜け出せていないはずだ。この危機に対して、誰もが同じ認識のはずなのだが、なぜか強引に「通常」に戻ろうとしている現実世界。国民の半数以上が反対する五輪が開催以外に道はないとすすめられているように、普段通りに稼ぐのだと突き進んで大丈夫なのだろうか。多くの人が感じているこの違和感が、最悪な結末を呼び込むことにならなければ良いのだが。

関連記事

トピックス

東京都慰霊堂を初めて訪問された天皇皇后両陛下と長女・愛子さま(2025年10月23日、撮影/JMPA)
《母娘の追悼ファッション》皇后雅子さまは“縦ライン”を意識したコーデ、愛子さまは丸みのあるアイテムでフェミニンに
NEWSポストセブン
2023年に結婚を発表したきゃりーぱみゅぱみゅと葉山奨之
「傍聴席にピンク髪に“だる着”姿で現れて…」きゃりーぱみゅぱみゅ(32)が法廷で見せていた“ファッションモンスター”としての気遣い
NEWSポストセブン
渡邊渚さんの最新インタビュー
渡邊渚さんが綴る「PTSDになった後に気づいたワーク・ライフ・バランスの大切さ」「トップの人間が価値観を他者に押しつけないで…」
NEWSポストセブン
女優の趣里とBE:FIRSTのメンバーRYOKI(右/インスタグラムより)
《趣里が待つ自宅に帰れない…》三山凌輝が「ネトフリ」出演で超大物らと長期ロケ「なぜこんなにいい役を?」の声も温かい眼差しで見守る水谷豊
NEWSポストセブン
ルーヴル美術館での世紀の強奪事件は瞬く間に世界を駆け巡った(Facebook、HPより)
《顔を隠した窃盗団4人組》ルーブル美術館から総額155億円を盗んだ“緊迫の4分間”と路上に転がっていた“1354個のダイヤ輝く王冠”、地元紙は「アルセーヌ・ルパンに触発されたのだろう」
NEWSポストセブン
活動休止状態が続いている米倉涼子
《自己肯定感が低いタイプ》米倉涼子、周囲が案じていた“イメージと異なる素顔”…「自分を追い込みすぎてしまう」
NEWSポストセブン
松田聖子のモノマネ第一人者・Seiko
《ステージ4の大腸がんで余命3か月宣告》松田聖子のものまねタレント・Seikoが明かした“がん治療の苦しみ”と“生きる希望” 感激した本家からの「言葉」
NEWSポストセブン
“ムッシュ”こと坂井宏行さんにインタビュー(時事通信フォト)
《僕が店を辞めたいわけじゃない》『料理の鉄人』フレンチの坂井宏行が明かした人気レストラン「ラ・ロシェル南青山」の閉店理由、12月末に26年の歴史に幕
NEWSポストセブン
森下千里衆院議員(共同通信社)
《四つん這いで腰を反らす女豹ポーズに定評》元グラドル・森下千里氏「政治家になりたいなんて聞いたことがない」実親も驚いた大胆転身エピソード【初の政務三役就任】
NEWSポストセブン
ナイフで切りつけられて亡くなったウクライナ出身の女性イリーナ・ザルツカさん(Instagramより)
《19年ぶりに“死刑復活”の兆し》「突然ナイフを取り出し、背後から喉元を複数回刺した」米・戦火から逃れたウクライナ女性(23)刺殺事件、トランプ大統領が極刑求める
NEWSポストセブン
『酒のツマミになる話』に出演する大悟(時事通信フォト)
『酒のツマミになる話』が急遽差し替え、千鳥・大悟の“ハロウィンコスプレ”にフジ幹部が「局の事情を鑑みて…」《放送直前に混乱》
NEWSポストセブン
『週刊文春』によって密会が報じられた、バレーボール男子日本代表・高橋藍と人気セクシー女優・河北彩伽(左/時事通信フォト、右/インスタグラムより)
「近いところから話が漏れたんじゃ…」バレー男子・高橋藍「本命交際」報道で本人が気にする“ほかの女性”との密会写真
NEWSポストセブン