スポーツ

川上哲治監督の金言「頭の中を空っぽにしろ」 森祇晶氏が述懐

川上監督からの忘れられない言葉とは(時事通信フォト)

川上監督からの忘れられない言葉とは(時事通信フォト)

 川上哲治監督が成し遂げたV9時代、正捕手としてマスクをかぶり続けた森祇晶氏は“川上巨人の頭脳”と称された。森氏には忘れられないひと言があるという。森氏が川上監督の思い出を語る。

 * * *
 選手・川上哲治の時は怖くて口もきけなかったけれど、監督になってからはシフトやサインプレーのこともあったので、いつも会話していました。怖いとか、雲の上の人というイメージはなかったなぁ。川上さんがシーズンオフに座禅を組みに行く岐阜の寺に同行したこともあります。

 怒られ役は僕と決まっていて、ミーティングでも何かあるたびに怒られていた。「また始まったなぁ」と思って聞いていましたが、選手の個性を見て、怒っていい選手と怒ってはいけない選手を分けていたのだと思います。シーズン終了後に「よくやったな」と言われたことはありましたが、面と向かってプレーを褒められたことは一度もなかった。

〈森氏が最も印象に残っているのは、川上の監督就任1年目の1961年、米フロリダ州で行なわれたベロビーチ・キャンプだという。チーム改革を目指す川上の希望で実現したドジャースとの合同キャンプは、森氏にも大きな影響を与えた〉

 キャンプ前にドジャースのコーチ、アル・カンパニスが書いた『ドジャース戦法』という本が全員に1冊ずつ渡され、それを読み込んでから渡米しました。“野球はこんなに複雑なものなんだ”と、すべてが目からウロコでしたね。

 このキャンプこそ、日本の野球を組織だったものに変えていく大きなきっかけでした。

 この時に川上さんに言われたのは、

「とにかく頭の中を空っぽにしろ。そして見るもの聞くものすべてを吸収しろ。それが教わるということだ」

 直にドジャースの練習方法や考え方を学びに行くのだから、固定観念を捨てて謙虚になれということ。そこには川上さん自身の「勉強するんだ」という気持ちも込められていたと思います。ベロビーチでは、練習が終わってから、毎日1対1で話をしました。

関連記事

トピックス

「日本人ポップスターとの子供がいる」との報道もあったイーロン・マスク氏(時事通信フォト)
イーロン・マスク氏に「日本人ポップスターとの子供がいる」報道も相手が公表しない理由 “口止め料”として「巨額の養育費が支払われている」との情報も
週刊ポスト
渡邊渚さんが性暴力問題について思いの丈を綴った(撮影/西條彰仁)
《渡邊渚さん独占手記》性暴力問題について思いの丈を綴る「被害者は永遠に救われることのない地獄を彷徨い続ける」
週刊ポスト
中居の女性トラブルで窮地に追いやられているフジテレビ(右・時事通信フォト)
《会社の暗部が暴露される…》フジテレビが恐れる処分された編成幹部B氏の“暴走” 「法廷での言葉」にも懸念
NEWSポストセブン
週刊ポストの名物企画でもあった「ONK座談会」2003年開催時のスリーショット(撮影/山崎力夫)
《追悼・長嶋茂雄さん》週刊ポストが1年前に託された最後のメッセージ「私の人生は野球に始まり、これからも常に野球とともにあります」
週刊ポスト
母・佳代さんと小室圭さん
《眞子さん出産》“一卵性母子”と呼ばれた小室圭さんの母・佳代さんが「初孫を抱く日」 知人は「ふたりは一定の距離を保って接している」
NEWSポストセブン
長嶋茂雄さんとの初対戦の思い出なども振り返る
江夏豊氏が語る長嶋茂雄さんへの思い 1975年オフに持ち上がった巨人へのトレード話に「“たられば”はないが、ミスターと同じチームで野球をやってみたかった」
週刊ポスト
元タクシー運転手の田中敏志容疑者が性的暴行などで逮捕された(右の写真はイメージです)
《泥酔女性客に睡眠薬飲ませ性的暴行か》警視庁逮捕の元タクシー運転手のドラレコに残っていた“明らかに不審な映像”、手口は「『気分が悪そうだね』と水と錠剤を飲ませた」
NEWSポストセブン
金田氏と長嶋氏
《追悼・長嶋茂雄さん》400勝投手・カネやんが明かしていた秘話「一緒に雀卓を囲んだが、あいつはルールを知らなかったんじゃないか…」「初対決は4連続三振じゃなくて5連続三振」
NEWSポストセブン
違法薬物を所持したとして不動産投資会社「レーサム」の創業者で元会長の田中剛容疑者と職業不詳・奥本美穂容疑者(32)が逮捕された(左・Instagramより)
《レーサム創業者が“薬物付け性パーティー”で逮捕》沈黙を破った奥本美穂容疑者が〈今世終了港区BBA〉〈留置所最高〉自虐ネタでインフルエンサー化
NEWSポストセブン
「秀才」に突然訪れた“異変”の原因とは(イメージ)
中受で超難関中高一貫校に入学した「秀才」に突然訪れた“異変”の原因とは「腹痛と下痢を繰り返し、成績は最下位クラス…」《エリートたちの発達障害》
NEWSポストセブン
《女子バレー解説席に“ロンドン五輪メダル組”の台頭》日の丸を背負った元エース・大林素子に押し寄せる世代交代の波、6年前から「二拠点生活」の現在
《女子バレー解説席に“ロンドン五輪メダル組”の台頭》日の丸を背負った元エース・大林素子に押し寄せる世代交代の波、6年前から「二拠点生活」の現在
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! ミスター長嶋茂雄は永久に!ほか
「週刊ポスト」本日発売! ミスター長嶋茂雄は永久に!ほか
NEWSポストセブン