芸能

『まめ夫』の佐野亜裕美P「やりたくないことをやらずにすむ環境に居続けたい」

ヒット作を多数生み出してきた佐野亜裕美プロデューサーは、どのようなドラマ作りを目指しているのか?

ヒット作を多数生み出してきた佐野亜裕美プロデューサーは、どのようなドラマ作りを目指しているのか?

「人生に失敗はあっても、失敗した人生はない」──これは、現在放送中のドラマ『大豆田とわ子と三人の元夫』(関西テレビ制作・フジテレビ系)の主人公・大豆田とわ子(松たか子)の台詞である。とわ子と親友(市川実日子)、3人の元夫(松田龍平、角田晃広、岡田将生)プラス第4の男(オダギリジョー)が繰り広げるロマンチックコメディが、まもなく最終回を迎える。人気脚本家・坂元裕二氏によるこのドラマは、先に紹介したような“刺さる”台詞をはじめ、意外な展開、細かな伏線、個性的なキャラクターの魅力などがあいまって、放送後、常にSNSで話題となり、深堀記事が登場し続けている。「語りたくなる」ドラマはどのように作られたのか。大団円の放送を前に、関西テレビの佐野亜裕美プロデューサーに話を聞いた。

 * * *

視聴者を誘導しないドラマ

──SNSで話題になり、考察記事、深堀記事が続々出ている状況について、どう受け止めていらっしゃいますか?

佐野:番組を愛してくださっている方がたくさんいることをとても嬉しく思っています。さまざまな記事を読ませていただいていますが、へー、そんなふうに読み解くのかとか、ここを伏線と思うのかとか、こちらが意図していない見方はもちろんあって、いろんな視点があることを学びます。

 見てくださる方を誘導したくない、という思いを、プロデューサーとしてはずっと持っています。音楽一つとっても、「ここで泣ける」といった、感情を規定する音楽を使いたくないとか。そういうポリシーでドラマを作っていることが、結果的に、見る方によって印象が違ったり、響く部分が違うという状況を生んでいるのかなと想像しています。

──番組の公式ツイッターで、放送後に「ご意見・ご感想・ご批判をお待ちしております!」と、「批判」まで受けつけているのはなぜですか?

佐野:自分の勉強になるからですね。自分一人の視点は本当に限られているので、批判を含めていろんな視野を手に入れることは、この多様な世界でドラマを作っていく上でとても大切なことだと思っています。

──昨今、「わかりやすい」ドラマが人気を博したり、高い視聴率を獲得する状況において、『大豆田とわ子と三人の元夫』は、会話や伏線が多く、どちらかといえば「わかりにくい」ドラマだと思います。佐野さんはどのようなドラマ作りを目指していらっしゃいますか?

佐野:ドラマは、「ながら見」が前提になっていたり、耳で聞いただけでわかるとか、途中の回から見始めてもついていけるなど、どうしても、わかりやすさが求められるメディアです。私自身も、わからないものが素敵だとは思いませんし、敢えてわかりにくくするつもりも全くありません。その上で、いろんなドラマがあっていいと思うし、いろんなドラマがあるべきだと思うんですね。

 そういうなかで私は、一時間、集中して見てくださる方が楽しめるドラマを作りたいなと。一時間あっという間で、一時間濃かったと感じてもらうために、一時間の密度みたいなものを意識しています。これだけ娯楽の選択肢がある世の中で、人の時間を一時間奪うって、大変なことだと思うんです。それに見合う価値のあるドラマを作りたいと考えています。

関連記事

トピックス

無罪判決に涙を流した須藤早貴被告
《紀州のドン・ファン元妻に涙の無罪判決》「真摯に裁判を受けている感じがした」“米津玄師似”の男性裁判員が語った須藤早貴被告の印象 過去公判では被告を「質問攻め」
NEWSポストセブン
激痩せが心配されている高橋真麻(ブログより)
《元フジアナ・高橋真麻》「骨と皮だけ…」相次ぐ“激やせ報道”に所属事務所社長が回答「スーパー元気です」
NEWSポストセブン
Instagramにはツーショットが投稿されていた
《女優・中山美穂さんが芸人の浜田雅功にアドバイス求めた理由》ドラマ『もしも願いが叶うなら』プロデューサーが見た「台本3ページ長セリフ」の緊迫
NEWSポストセブン
トンボをはじめとした生物分野への興味関心が強いそうだ(2023年9月、東京・港区。撮影/JMPA)
《倍率3倍を勝ち抜いた》悠仁さま「合格」の背景に“筑波チーム” 推薦書類を作成した校長も筑波大出身、筑附高に大学教員が続々
NEWSポストセブン
12月6日に急逝した中山美穂さん
《追悼》中山美穂さん、芸能界きっての酒豪だった 妹・中山忍と通っていた焼肉店店主は「健康に気を使われていて、野菜もまんべんなく召し上がっていた」
女性セブン
自宅で亡くなっているのが見つかった中山美穂さん
【入浴中の不慮の事故、沈黙守るワイルド恋人】中山美穂さん、最後の交際相手は「9歳年下」「大好きな音楽活動でわかりあえる」一緒に立つはずだったビルボード
NEWSポストセブン
結婚披露宴での板野友美とヤクルト高橋奎二選手
板野友美&ヤクルト高橋奎二夫妻の結婚披露宴 村上宗隆選手や松本まりかなど豪華メンバーが大勢出席するも、AKB48“神7”は前田敦子のみ出席で再集結ならず
女性セブン
スポーツアナ時代の激闘の日々を振り返る(左から中井美穂アナ、関谷亜矢子アナ、安藤幸代アナ)
《中井美穂アナ×関谷亜矢子アナ×安藤幸代アナ》女性スポーツアナが振り返る“男性社会”での日々「素人っぽさがウケる時代」「カメラマンが私の頭を三脚代わりに…」
週刊ポスト
NBAロサンゼルス・レイカーズの試合を観戦した大谷翔平と真美子さん(NBA Japan公式Xより)
《大谷翔平がバスケ観戦デート》「話しやすい人だ…」真美子さん兄からも好印象 “LINEグループ”を活用して深まる交流
NEWSポストセブン
(時事通信フォト)
「服装がオードリー・ヘプバーンのパクリだ」尹錫悦大統領の美人妻・金建希氏の存在が政権のアキレス腱に 「韓国を整形の国だと広報するのか」との批判も
NEWSポストセブン
自宅で亡くなっているのが見つかった中山美穂さん
《私には帰る場所がない》ライブ前の入浴中に突然...中山美穂さん(享年54)が母子家庭で過ごした知られざる幼少期「台所の砂糖を食べて空腹をしのいだ」
NEWSポストセブン
亡くなった小倉智昭さん(時事通信フォト)
《小倉智昭さん死去》「でも結婚できてよかった」溺愛した菊川怜の離婚を見届け天国へ、“芸能界の父”失い憔悴「もっと一緒にいて欲しかった」
NEWSポストセブン