──このドラマに限らず、最近、テレビドラマでの「恋愛至上主義」は薄れつつあると感じますが、重要な要素であることは変わりません。
佐野:実際の社会では、恋愛が特別視されるところはあると思うんです。とはいえ、そうじゃないでしょう、ということを、ドラマで声高に主張していきたいというわけでもありません。塩梅が難しいんですが、エンターテインメントでは、恋愛が苦手は運動が苦手と同じとか、恋愛が得意は数学が得意と同じ、くらいな感じで、恋愛が扱われるといいなと私は思っています。
「やりたいのはオリジナルドラマです」
──佐野さんはTBS時代に『99.9 刑事専門弁護士』『カルテット』『この世界の片隅に』といった話題作を手掛け、昨年、関西テレビに移られました。好きなドラマのセリフとして「やりたくないことは、やらないだけなんです」(かもめ食堂)を挙げられていますが、今やりたいこと、やりたくないことは何でしょうか?
佐野:やりたいのはオリジナルドラマです。原作ものは、ほかにやる方がたくさんいらっしゃるのでお任せして、私はオリジナルドラマができる環境に居たいと思っています。
やりたいこと、やりたくないことって、時々によって変わっていくので、以前、やりたくなかったことが、今はやりたくなっていたり、反対に、過去にやりたかったことを、今はやりたくなかったりしますが、いずれにしろ、やりたくないことをやらずにすむ環境に居続けたいですね。そういう環境じゃなくなったら移ればいいわけですが、移るためには準備が必要だし、相応の実績が必要になります。また、やりたいことをやれる自分でいなければいけないわけで、そのために、日々精進です。
最初の夫・田中八作を演じる松田龍平
──転職される前に短期間アメリカに行かれて、海外市場を視野に入れたドラマ作りも考えるようになったとか。
佐野:日本はこれから人口が減っていきますから、国内に限界がある以上、市場を海外に広げていくしかないというシンプルな考えです。ドラマの製作費がどんどん厳しくなっているのは事実なので、今のままだと悪循環に陥るとも思っています。お隣の韓国から見習うことはたくさんありますし、もっと勉強を重ねて、将来、海外でも見てもらえるドラマを作りたいという気持ちを持っています。