芸能

『愛の不時着』素朴なギモンを脱北民の目線で検証

「愛の不時着」展 

(c)CultureDepot.(c)STUDIO DRAGON CORP. 「愛の不時着」展は現在名古屋で開催中(~7月4日)。名古屋会場受付で当日券も絶賛販売中。

 人気韓国ドラマ『愛の不時着』が北朝鮮でも人々を夢中にさせているという。セトミン(脱北者)のユーチューバーたちがそんな実情を伝えながらドラマのレビューをして韓国では話題になっている。

 韓国の財閥令嬢ユン・セリ(ソン・イェジン)がパラグライダーで飛行中、北朝鮮に不時着したことから始まる北朝鮮軍のリ・ジョンヒョク(ヒョンビン)との愛のドラマ。今年1月に東京から巡回が始まった『「愛の不時着」展』は、現在名古屋会場(ナディアパーク地下1F特設会場)で好評開催中。日本でも絶大な人気が続く。

 ドラマを通して知る北朝鮮での生活や習慣は、韓国人である筆者でも知らなかったことが多く、興味深い。ドラマを見ていてギモンだったことも、そうだったのか! と納得できるので、ここでいくつか紹介していきたい。

38度線にエリートの息子が所属されるの?

 まず、北朝鮮の軍人・リ・ジョンヒョクの父である「総政治局長」はどのくらい偉いのか。総政治局長は、北朝鮮に実在する役職だ。金正恩総書記の下には「総政治局」、「総参謀部」、「人民武力省」の3つの部がある。セトミンによると、金正恩は軍より党の力を強くする政策を発表したため、実際の権力は、総参謀部長より総政治局長の方がはるかに上だと言う。では、それほど権力を持つ総政治局長の大切な息子が、軍の中でも最もきついと言われている国境38度線を守る部隊に配属することはあり得る話なのか。

 ちなみに、韓国でも、北朝鮮との国境である38度線付近の部隊は、過酷と有名だ(私の父が服役していた部隊がまさに38度線がある部隊で、大変だったということは30年以上聞いているのでよ~くわかる)。一般には服役する部隊を選ぶことはできない。なので、特別な権力を持つ財閥や政治家の多くは自分の息子が楽な部隊に配属されるよう、中でも38度線を守る部隊には配属されないように、あらゆる権力を使うことは有名な話だ。

 だから、リ・ジョンヒョクの父が北朝鮮のナンバー2ともいえるほどの権力者であるとわかって、「“金スプーン(※)の中の金スプーン”が行く部隊ではないのでは?」と、疑問を持つ韓国人は多かったはず。(※ 金スプーン:親が金持ちである子供のことを示す言葉。ちなみに貧しい親を持つ子供のことは「土スプーン」)

 しかし、総政治局長の息子が38度戦を守る部隊の大尉である設定は、リアルすぎる設定だと、セトミンたちは言う。北朝鮮では、偉い階級の出身であればあるほど、過酷な部隊に配属されることを望むらしい。なぜなら大変な部隊で忠義を果たしたら、その後、恥じなく高い地位につける雰囲気だからだ。昇進も3倍速くらいという。もちろん、服役中も他の軍人よりは自由行動が許されている。

関連キーワード

関連記事

トピックス

防犯カメラが捉えた緊迫の一幕とは──
「服のはだけた女性がビクビクと痙攣して…」防犯カメラが捉えた“両手ナイフ男”の逮捕劇と、〈浜松一飲めるガールズバー〉から失われた日常【浜松市ガールズバー店員刺殺】
NEWSポストセブン
第一子となる長女が誕生した大谷翔平と真美子さん
《左耳に2つのピアスが》地元メディアが「真美子さん」のディープフェイク映像を公開、大谷は「妻の露出に気を使う」スタンス…関係者は「驚きました」
NEWSポストセブン
竹内朋香さん(27)と伊藤凛さん(26)は、ものの数分間のうちに刺殺されたとされている(飲食店紹介サイトより。現在は削除済み)
「ギャー!!と悲鳴が…」「血のついた黒い服の切れ端がたくさん…」常連客の山下市郎容疑者が“ククリナイフ”で深夜のバーを襲撃《浜松市ガールズバー店員刺殺》
NEWSポストセブン
和久井学被告と、当時25歳だった元キャバクラ店経営者の女性・Aさん
【新宿タワマン殺人・初公判】「オフ会でBBQ、2人でお台場デートにも…」和久井学被告の弁護人が主張した25歳被害女性の「振る舞い」
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(Instagramより)
《愛するネコは無事発見》遠野なぎこが明かしていた「冷房嫌い」 夏でもヒートテックで「眠っている間に脱水症状」も 【遺体の身元確認中】
NEWSポストセブン
大谷翔平がこだわる回転効率とは何か(時事通信フォト)
《メジャー自己最速164キロ記録》大谷翔平が重視する“回転効率”とは何か? 今永昇太や佐々木朗希とも違う“打ちにくい球”の正体 肩やヒジへの負担を懸念する声も
週刊ポスト
『凡夫 寺島知裕。「BUBKA」を作った男』(清談社Publico)を執筆した作家・樋口毅宏氏
「元部下として本にした。それ自体が罪滅ぼしなんです」…雑誌『BUBKA』を生み出した男の「モラハラ・セクハラ」まみれの“負の爪痕”
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問されている秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年6月4日、撮影/JMPA)
「佳子さまは大学院で学位取得」とブラジル大手通信社が“学歴デマ報道”  宮内庁は「全報道への対応は困難。訂正は求めていません」と回答
NEWSポストセブン
米田
「元祖二刀流」の米田哲也氏が大谷翔平の打撃を「乗っているよな」と評す 缶チューハイ万引き逮捕後初告白で「巨人に移籍していれば投手本塁打数は歴代1位だった」と語る
NEWSポストセブン
花田優一が語った福田典子アナへの“熱い愛”
《福田典子アナへの“熱い愛”を直撃》花田優一が語った新恋人との生活と再婚の可能性「お互いのリズムで足並みを揃えながら、寄り添って進んでいこうと思います」
週刊ポスト
生成AIを用いた佳子さまの動画が拡散されている(時事通信フォト)
「佳子さまの水着姿」「佳子さまダンス」…拡散する生成AI“ディープフェイク”に宮内庁は「必要に応じて警察庁を始めとする関係省庁等と対応を行う」
NEWSポストセブン
まだ重要な問題が残されている(中居正広氏/時事通信フォト)
中居正広氏と被害女性Aさんの“事案後のメール”に「フジ幹部B氏」が繰り返し登場する動かぬ証拠 「業務の延長線上」だったのか、残された最後の問題
週刊ポスト