隣接自治体で「中止」「受け入れ」が分かれたケースも

 逆に、直前の6月になって急きょ、ボートとカヌーに出場するアルゼンチン、イタリアの事前合宿受け入れが決まった自治体がある。岡谷市の隣に位置する下諏訪町である。

 旧中山道の宿場町として栄えた温泉・観光と精密機械工業のまちとして知られるが、実は長野県きっての「ボートのまち」でもある。県内唯一の漕艇場があり、多くの大会が開催されている。町民にはボート体験者も多い。そんなことから、事前合宿誘致を進めてきた経緯がある。

 アルゼンチンは選手、監督合わせ9名、イタリアは選手団36名で、合わせて45名が訪れることになった。事前合宿は7月13日からだ。

「アルゼンチンは以前、同国の五輪関係者がこちらを訪れて漕艇場などを視察していったことがあり、4月にボートとカヌーの事前合宿の打診がありました。イタリアは当初、事前合宿なしで選手村に入る予定でしたが、日程の関係で調整場所が必要となり打診がありました。6月8日に町議会で補正予算が可決されたことで受け入れが正式に決まったものです」(下諏訪町体育館の担当者)

 この時期の受け入れ決定に町民の反応はどうなのか。地元メディアには「こんな時だから心配」「できればやってほしくない」という反対論の一方で、「これを乗り越えて得られる財産があると思うし応援したい」といった歓迎の声も紹介されていた。町議会でも賛否それぞれの意見が出た。補正予算の採決は賛成9、反対3だった。

「私たちに届く声も賛否両論ですね。いろんな声があるのは当然だと思います。合宿実施にあたっては、選手たちは皆ワクチンを接種してきますし、合宿中の行動については滞在先のホテルと練習場の行き来だけで、住民との接触は避けるといった対策を講じていきます」(前出の担当者)

 隣接する自治体で、中止・受け入れと対応が分かれたケースである。

入国手続きや検疫を終え、海外選手団で初入国したソフトボールのオーストラリア代表(時事通信フォト)

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