注射の痛みはほんとんどナシ。2回目の接種の予約もすんなり

 同じ色のクリアファイルを持った7人がエレベータに乗って、ビルの上のフロアに。案内されてたどり着いたのが、冒頭の問診ブースが並んだ部屋です。ほかのブースにどんなお医者さんがいたかはわかりませんが、私が入った女医さんのブースがいちばんの大当たりだったのは間違いありません。ああ、きっと日頃の行ないが良いからですね。

 接種自体は、拍子抜けするぐらいあっけなく終わりました。鉛筆みたいな細い注射器は、全体的には緑色だったかな。40代ぐらいのやさしそうな男性のお医者さんが「はい、いきますよー」と掛け声をかけつつ、肩の近くに針をさしていきます。針が細いせいか、ほとんど痛みはありません。普段、検査で採血するときのほうが、はるかに痛みがあります。

 そのとき9時37分。受付をしてから、まだ12~13分しか経っていません。次は2回目の接種の日時を予約する部屋へ。受付でもらったパンフレットには、2回目は通常4週間の間隔で、そこからあまり日が立たないうちに受けてくださいとあります。

「今でしたら、7月16日以降の接種が予約可能です」
「じゃあ、せっかくなのでその日にお願いします」
「○時でいかがでしょうか」
「はい、大丈夫です」

渡された経過観察時間連絡票

渡された経過観察時間連絡票

 ということで、2回目の予約完了。そのまま、たくさんのパイプ椅子が並んでいるブースへ。接種して15分後にあたる「9時52分」と書かれた紙切れを持って、静かに座ったまま待機します。途中で予約とかしていたので、実質的には5、6分でした。15分以上たったら係の人に紙に書かれた時間をチェックしてもらって、これで無事に終了です。

帰り際にマイクに向かって話すコメントを心の中で用意した

「いやあ、医療従事者でもないし、オリンピックの選手でもないのに、僕なんかがこんなに早く打っていいのかなと思ったんですけど。でも、いつか打つんだったら早いほうがいいし、微力ではありますけど、日本全体の感染対策に貢献できるわけですから」

 会場に入るとき、いくつかのテレビの取材クルーが、出てくる人にマイクを向けている光景が目に入りました。「そっか、ニュースの取材だな。帰りにもしマイクを向けられたら、どう言おうかな……」なんて思いながら心の中で用意していたのが、上のコメントです。あらためて見ると、テレビ受けを半端に意識しててキレもコクもありませんね。

 帰り際、何組かの取材クルーの横を通りましたが、どこもマイクを向けてはくれませんでした。「おっ、近寄ってきた」と思ったら、後ろを歩いている若い女性に向かっていたりとか。そりゃまあ、おっさんよりもおねえさんがいいですよね。いや、いいんです。おかげで上の微妙に恥ずかしい、たとえ言ってもボツにしかならないコメントを言わずに済んだわけですから。あのマイクは、きっと酸っぱい。

 すべてが終わって会場を出たのが、ちょうど10時。次から次へと未知の体験を重ねましたけど、30分ちょっとの出来事でした。今は接種してから12時間ぐらい経ちました。いわゆる副反応と思われる症状は何もありません。注射したところが、ほんの少し痛いぐらいでしょうか。筋肉に針を刺したんですから、それはしょうがないですね。

 明日からの悩みは、同年代の中では早めに1回目が打てたことを周囲の知り合いにどう話すか。あるいは、できるだけ話さないか。「えっ、ワクチン? 1回目はもう打っちゃったんだよね」と言ったら自慢に聞こえそうだし、「ごめんなさい。お先に打たせてもらいました」と下手に出るのもそれはそれで嫌味です。かといって隠すことでもないし……。

 これもまたコロナ禍ならではの葛藤であり、コロナウイルスがもたらした分断です。ワクチンの接種が広がるにつれ、それぞれの段階において、多くの人が直面することになるでしょう。コロナウイルスってヤツは、つくづく迷惑で憎い存在ですね。

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