東京五輪「祭りの後」の虚無感

 幸いなことに、湾岸のタワマン市場はいまだに右肩上がりを維持している。しかしながら、そろそろ沸点が見えてきたかもしれない。その理由はいろいろある。

晴海にある東京五輪の選手村。大会後は大規模マンションに(時事通信フォト)

晴海にある東京五輪の選手村。大会後は大規模マンションに(時事通信フォト)

 まず、湾岸エリアの最大イベントである東京オリンピック・パラリンピックはどんな形にせよ、9月上旬には終わる。もしかしたら「世紀の大失敗大会」となるかもしれない。仮にそうなったら、選手村跡地のマンション群は「失敗大会のモニュメント」として人々の記憶に残る。

 百歩譲って、五輪が何とか成功裏に閉幕しても、終わることには変わりない。湾岸エリアには「祭りの後」の虚無感が漂うだろう。

コロナで需要を先食いしてしまった

 次に、コロナ禍によって湾岸のタワマン市場は数年分の需要を先食いしてしまった感がある。

 2020年の後半から現在まで、テレワークのための部屋数や共用施設を目当てに、湾岸の中古タワマンは大量に購入されている。買っているのは「いずれはマイホームを購入しなければならなかった」人々である。

 つまり、コロナ禍によって、短期間で需要の先食いが発生したのだ。コロナが落ち着くと、その反動の需要減がやってくる。そうでなくても、湾岸エリアではここ20年で大量のタワマンが供給された。また、今後数年はそれが続く。

 これに対して、需要層である30代人口は年々減少している。住宅ローンを組みやすい正規雇用者数は減少傾向にあり、非正規雇用者が増加しているのは周知の通りだ。

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