タワマンの造りに懐疑的な見方も

 最後に、タワマンという住形態に対する懐疑的な見方も広がっている。

 戸境壁や外壁に工場で作られた軽量の建材が使用されているタワマンが、鉄筋コンクリートに囲まれた通常型のマンションとはかなり異なる構造であることの認知が、世間に広く浸透し始めている。

「高いお金を払って住んでいるのに、なぜ隣の住人のくしゃみが聞こえるのか」

 私のところにも、こういった類の相談を持ち込むタワマン住民が多い。

 また今年になって渋谷区に立地する大手デベロッパーが開発したタワマンで施工不備が発覚した。その内容はかなり深刻だ。住民に退去を求めての大規模な補修工事が行われることになったが、これはタワマンという住形態の弱点を象徴する事例ではないか。

 2023年4月、異次元金融緩和を行ってきた黒田日銀総裁の任期が切れる。異次元金融緩和が終わって金利が正常値に戻れば、住宅ローンの金利も上がる。金利が上がれば、住宅ローン利用者は購入予算を下げざるを得ない。金利上昇はマンション市場にとっては巨大な下落圧力である。

 上昇を続けた湾岸のタワマン価格も、いよいよ黄昏の時を迎えるだろう。タワマン神話の崩壊が迫っている。空中移動で我が世の春を謳歌した「空中族」たちも、今から手仕舞いの方策を考えるべきではないか。

●文/榊淳司(住宅ジャーナリスト)

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