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シリーズ開始から10年、誰もが認める”アクション俳優”に

『るろうに剣心』シリーズには、青木崇高(41才)や新田真剣佑(24才)、さらには格闘家の経歴を持つ須藤元気(43才)や独自の踊りを世界中で展開する田中泯(76才)など、優れた身体能力を持つ俳優たちが多く集ってきた。須藤や田中に関しては身体を扱う“プロ”だ。ここから分かるのが、本シリーズはチーム全員で質の高いアクションシーンを作り上げているということ。大人数での乱戦はチームワークが必要不可欠だ。

 だがその錚々たる顔ぶれの中でも、佐藤の動きの俊敏さはずば抜けていると思う。佐藤は“とにかく速い”のである。アクションは、受け手のレベルによってもクオリティが変わってくる。佐藤の高速のアクションを的確に受け止められる演者たちがあってこそ、高品質の作品が成立しているのだ。そんな座組において、生まれ持っての身体能力を持ち合わせた佐藤が座長の“格”であることは、シリーズが5作も続いたことが証明しているはずである。

 対する『ザ・ファブル』では、登場人物の大半はアクションを行わない。また、主人公・ファブルと敵対する者たちが手にするのは拳銃だ。だが、それゆえ敵と対峙する岡田の身体能力が、本作では非常に際立つ。何より本作で岡田は、 “ファイトコレオグラファー”としてアクションの振付けも担当しており、アクションシーンの動きを自ら考え、作品に落とし込んでいるのだ。

 岡田がさまざまな格闘技のインストラクターの資格を持っていることは広く知られているだろう。過去作を振り返れば彼の基礎的な身体能力の高さは言わずもがなだが、本作での岡田は、作品に適応するための“身体”だけでなく、“脳(知恵)”も駆使したアクションで魅せてくれている。これを体現できるのは、彼の長年の鍛錬とアクションへの深い理解があるからに他ならない。

 本作で殺し屋役を演じた安藤政信(46才)が、「何で岡田に指導されなければいけないんだという気持ちでいたけど、岡田の動きやアクションの考え方、哲学みたいなものを見て、すぐに『弟子にしてください。道場に通いたいです』と伝えました」と語っていることからも分かるだろう。

 佐藤は俊敏性に特化しており、岡田は俊敏性に加え、訓練に裏打ちされた知識と技術がある。両作品は毛色の異なる映画ではあるものの、現在奇遇にもトップクラスの“アクション俳優”の主演作が公開されており、ある意味では“対決”が実現してと言えるのではないだろうか。いつか2人が本格的に手合わせするところを想像せずにはいられない。

【折田侑駿】
文筆家。1990年生まれ。映画や演劇、俳優、文学、服飾、酒場など幅広くカバーし、映画の劇場パンフレットに多数寄稿のほか、映画トーク番組「活弁シネマ倶楽部」ではMCを務めている。

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