爆発的な感染再拡大に見舞われた「インド」

 それでは、少なくとも1回は接種を受けたという人が多い国はどこだろうか。

 最も多いのは中国で、6月の時点で6億2200万人が1回は接種を受けたとしている。それに次ぐのが、インドだ。2億3000万人超の人々が1回目の接種を終えている。3位には、アメリカが1億7000万人超で続いている。

 この順番は人口のランキングと同じだ。だが、これまでの感染拡大の経緯は、この3か国で大きく異なる。中国は徹底した感染封じ込めとともにワクチン接種を推進した。アメリカはワクチン接種を劇的に増やして感染を大きく抑制した。

インド・ムンバイにあるドライブスルー方式のワクチン接種(AFP=時事通信フォト)

インド・ムンバイにあるドライブスルー方式のワクチン接種(AFP=時事通信フォト)

 そして、インドは全土に敷かれた厳しいロックダウンにより、昨年の第1波は感染抑制に成功した。ところが、2月にロックダウンを緩めた結果、感染の第2波が一気に拡大した。

 5月には、1日の新規感染者数が40万人を超え、死亡者数は1日で4000人前後に達した。重症者も急増して入院患者があふれたため、1つの病床を2人の入院患者で使用せざるを得ないなど、医療が急激に逼迫した。

 インドでは再び厳しいロックダウンが行われ、ワクチンの接種が進められた。その結果、現在はようやく新規感染者数や死亡者数が減少し、感染拡大は収まりつつある。

ワクチン接種スピードがカギ握る「日本」

 これらの国の例をみると、ワクチン接種を進めることと併せて、従来の感染抑制策をいかに継続できるかが感染封じ込めのカギといえるだろう。

 日本では、東京や大阪などに出されていた3度目の緊急事態宣言が6月21日に解除され、まん延防止等重点措置に切り替えられている(沖縄の緊急事態宣言は継続中)。それとともに、都心部の繁華街で人流が増加しており、感染第5波を懸念する声が高まってきている。

ワクチン接種センターに設けられた経過観察待機場所(東京都庁南展望室ワクチン接種センター/時事通信フォト)

ワクチン接種センターに設けられた経過観察待機場所(東京都庁南展望室ワクチン接種センター/時事通信フォト)

 ワクチン接種は、6月に1日100万回の政府目標に達したが、開始当初の接種スピードが遅かったこともあり、接種率はようやく20%を超え、2回接種を完了した人の割合はまだ10%にとどまっている。

 日本でもデルタ株が広がっていることを踏まえると、今後は変異ウイルスの拡大とワクチン接種のスピードの競争になるといわれる。現役世代の接種が徐々に始まっているが、本格的に進めるには、もう少し時間が必要だ。

 それまで、まだしばらくは従来の感染抑制策を続けていく必要があるといえるだろう。

関連キーワード

関連記事

トピックス

佳子さまを撮影した動画がXで話題になっている(時事通信フォト)
《佳子さまどアップ動画が話題》「『まぶしい』とか『神々しい』という印象」撮影者が振り返る “お声がけの衝撃”「手を伸ばせば届く距離」
NEWSポストセブン
池田被告と事故現場
《飲酒運転で19歳の女性受験生が死亡》懲役12年に遺族は「短すぎる…」容疑者男性(35)は「学校で目立つ存在」「BARでマジック披露」父親が語っていた“息子の素顔”
NEWSポストセブン
若隆景
序盤2敗の若隆景「大関獲り」のハードルはどこまで下がる? 協会に影響力残す琴風氏が「私は31勝で上がった」とコメントする理由 ロンドン公演を控え“唯一の希望”に
NEWSポストセブン
個別指導塾「スクールIE」の元教室長・石田親一容疑者(公式サイトより※現在は削除済み)
《15歳女子生徒にわいせつ》「普段から仲いいからやっちゃった」「エスカレートした」“やる気スイッチ”塾講師・石田親一容疑者が母親にしていた“トンデモ言い訳”
NEWSポストセブン
9月6日に悠仁さまの「成年式」が執り行われた(時事通信フォト)
【なぜこの写真が…!?】悠仁さま「成年式」めぐりフジテレビの解禁前写真“フライング放送”事件 スタッフの伝達ミスか 宮内庁とフジは「回答は控える」とコメント
週刊ポスト
交際が報じられた赤西仁と広瀬アリス
《赤西仁と広瀬アリスの海外デートを目撃》黒木メイサと5年間暮らした「ハワイ」で過ごす2人の“本気度”
NEWSポストセブン
世界選手権東京大会を観戦される佳子さまと悠仁さま(2025年9月16日、写真/時事通信フォト)
《世界陸上観戦でもご着用》佳子さま、お気に入りの水玉ワンピースの着回し術 青ジャケットとの合わせも定番
NEWSポストセブン
秋場所
「こんなことは初めてです…」秋場所の西花道に「溜席の着物美人」が登場! 薄手の着物になった理由は厳しい暑さと本人が明かす「汗が止まりませんでした」
NEWSポストセブン
『徹子の部屋』に月そ出演した藤井風(右・Xより)
《急接近》黒柳徹子が歌手・藤井風を招待した“行きつけ高級イタリアン”「40年交際したフランス人ピアニストとの共通点」
NEWSポストセブン
和紙で作られたイヤリングをお召しに(2025年9月14日、撮影/JMPA)
《スカートは9万9000円》佳子さま、セットアップをバラした見事な“着回しコーデ” 2日連続で2000円台の地元産イヤリングもお召しに 
NEWSポストセブン
世界的アスリートを狙った強盗事件が相次いでいる(時事通信フォト)
《イチロー氏も自宅侵入被害、弓子夫人が危機一髪》妻の真美子さんを強盗から守りたい…「自宅で撮った写真」に見える大谷翔平の“徹底的な”SNS危機管理と自宅警備体制
NEWSポストセブン
ウクライナ出身の女性イリーナ・ザルツカさん(23)がナイフで切りつけられて亡くなった(Instagramより)
《監視カメラが捉えた残忍な犯行》「刺された後、手で顔を覆い倒れた」戦火から逃れたウクライナ女性(23)米・無差別刺殺事件、トランプ大統領は「死刑以外の選択肢はない」
NEWSポストセブン