7割以上が中国製ワクチンの「チリ」
南米諸国はワクチン接種が進んでいない国が多い。そんな中で、例外的に接種が進んでいるのがチリだ。チリでは、接種率が60%を超え、2回の接種を完了した人の割合も50%に達しており、世界有数の接種先進国となっている。にもかかわらず、感染が再拡大しているという。
ワクチン接種を受けるチリの女性(AFP=時事通信フォト)
ワクチンの7割以上が中国メーカー製であることが、その原因の1つとみられている。中国メーカー製のものは、ワクチンの有効性が欧米メーカー製のものに比べて低いことが専門家からも指摘されている。
もう1つは、変異ウイルスとして感染力が従来のものより強いとされる “ガンマ型”(ブラジル型)が拡大したことが挙げられる。
チリでは、ロックダウンの規制を一時緩めたことで、ワクチン未接種の人を中心に感染が広がり、第2波が訪れているという。現在、チリ政府は再び規制を強化して感染の抑制を図ろうとしている。
接種スピードが鈍化する「ドミニカ」
ドミニカでも接種が進んでいるのに感染の再拡大が見られている。接種率は40%を超え、2回の接種を完了した人の割合も20%に達している。
ドミニカでは70歳以上の集団接種は進んだが…(EPA=時事通信フォト)
しかし、用いられているワクチンの9割以上が中国メーカー製となっており、接種の有効性は限定的とみられている。
これに加えて、接種率が40%を超えたあたりから、接種スピードが鈍化していることも再拡大の原因と考えられている。特に、入院患者の多くは、接種を受けていないという。
ドミニカ政府は、感染収束を図るために、夜間外出禁止令や、夜間のアルコール販売の禁止などの措置を打ち出している。
観光客受け入れを悔やむ「ポルトガル」
ポルトガルは接種率が50%を超え、2回の接種を完了した人の割合も30%に達している。しかし、首都リスボンを中心に、6月に感染が再拡大している。
デルタ株の感染増加を考慮して空港のチェック体制を強化するポルトガル(dpa=時事通信フォト)
その原因として取りざたされているのが、5月中旬~6月初旬にかけて、イギリスからの観光客を受け入れたことだ。イギリスで猛威を振るっている“デルタ型”(インド型)が蔓延している。
ドイツのメルケル首相は、ポルトガルのこの措置を批判している。これについて、ポルトガルの保健相は「国境の開放が過ちであったかもしれない」と認めている。現在は、変異ウイルスが拡大している首都を封鎖して、地方に変異ウイルスが蔓延することを抑止しようとしている。