やしきたかじん(時事通信フォト)

やしきたかじん(時事通信フォト)

 バブル経済真っ盛りの時代に思いを馳せるのは、経済評論家の山崎元氏である。

「何回か転職し、証券会社のファンドマネージャーをしていた頃。株価が上がっても自分の利益になるわけではないけれど、自分が選んだ銘柄の株価に一喜一憂していました。

 当時、カラオケでよく歌っていたのが、石川さゆり『天城越え』(1986年)。株価3万円超えなんていう時は、同僚と一緒に大喜びしてこの歌を歌い上げていましたね。本当に、数えきれないくらいカラオケで歌いましたが、この20年くらいは、ほとんどこの歌を歌う機会がありませんね(笑い)」

 最後に、『週刊ポスト』の連載コラム「酒でも呑むか」でお馴染みの、雑誌『酒とつまみ』編集長・大竹聡氏は、往年の酒場を懐かしみつつこう語る。

「昔は店にあるギターをいたずらに弾いたりしながら楽しむ店が多かった。そういう場がめっきり少なくなって、寂しいですね。まれにそういう店を見つけると、高田渡『生活の柄』(1971年)を弾き語りします。

 外で飲み終えて、酔い覚ましがてら自宅の少し手前の駅で降り、多摩川を越えて歩くことがあるんですが、川が近づくと空がだんだん広くなって視界が開けていく。そんなときも『生活の柄』をつい口ずさみます。

 すれ違った若者は、“変なおじさんが来た”と思っているんでしょうね。昔は僕も、ブツブツ独り言を言ったり歌を歌っている人を見て怖いなぁと思っていたけれど、いまじゃ自分がそうなっている(笑い)」

 今夜は懐かしい歌を肴に一杯やるか。

※週刊ポスト2021年7月16・23日号

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