ビジネス

新幹線駅前にそびえたつ「駅弁タワマン」 いったい誰が買っているのか

タワマンは憧れの住形態ではなくなる?

新幹線駅の駅前広場にそびえたつタワマンが目立ってきた(イメージ)

 いまやタワーマンションは都心部に限らず全国各地にそびえたっているが、近年目立ってきたのが、新幹線駅から見える「駅弁タワマン」だ。果たしてどんな人たちが購入しているのか──。住宅ジャーナリストの榊淳司氏がレポートする。

 * * *
 昭和に生まれて、今は使われなくなった言葉に「駅弁大学」というのがある。

 1949(昭和24)年5月に設置された新制国立大学を揶揄した言い方だという。当時、国鉄(現JR)の急行列車が停車する駅では駅弁が売られていたが、それくらいの規模の街には新しい総合大学があるという意味だという。昭和の中期に活躍したジャーナリストであり、ノンフィクション作家の大宅壮一氏が造り出した言葉であると言われている。

 今は新幹線の時代である。北海道から鹿児島まで総延長距離は約3000km、全国に109の駅がある。

「駅弁タワマン」は高値でも売れる

 数えたわけではないが、109駅の中の多くには駅前エリアにタワーマンションがある。今はなくても、そのうちできる所もあるだろう。少なくとも、事業用地さえ確保できればどこかのデベロッパーがタワマンを建てるはずだ。

 なぜ新幹線の停まる駅前エリアにタワマンが多いのか。売れるからである。それも、かなりの高値で売れる。少なくとも、東京の準郊外エリアの普通のマンションの価格レベルでは売れる。具体的な数字を挙げるなら、坪単価200万円台の後半から300万円。場所によっては、それより高くても売れるはずだ。

 なぜ高くても売れるのか。もちろん買う人がいるからである。いわゆる新幹線の「駅弁タワマン」を喜んで買う需要層は歴然と存在するのだ。

地元名士や開業医の「セカンドハウス」に

 では、誰が買っているのか。筆者の知る限り、地元の名士や開業医などが多い。彼らのほとんどは、そのタワマンを住むために買うのではない。少なくとも、本人が住むために購入しているケースは少ないと思う。

 子どもなど家族に住まわせているケースもあるだろう。しかし、いちばん多いと思われるのは、セカンドハウスとしての購入ではないか。

 駅弁タワマンを喜んで買う人というのは、少なからず東京志向である。何かというと東京へ来たがる。そのための中継地として駅弁タワマンを買っているのかもしれない。「東京へ行くことが多いから」というのは、家族や友人たちに対して駅弁タワマンを買う理由としては説明しやすい。

関連キーワード

関連記事

トピックス

《悠仁さま成年式》雅子さまが魅せたオールホワイトコーデ、 夜はゴールドのセットアップ 愛子さまは可愛らしいペールピンクをチョイス
《悠仁さま成年式》雅子さまが魅せたオールホワイトコーデ、 夜はゴールドのセットアップ 愛子さまは可愛らしいペールピンクをチョイス
NEWSポストセブン
LUNA SEA・真矢
と元モー娘。・石黒彩(Instagramより)
《80歳になる金婚式までがんばってほしい》脳腫瘍公表のLUNA SEA・真矢へ愛妻・元モー娘。石黒彩の願い「妻へのプレゼントにウェディングドレスで銀婚式」
NEWSポストセブン
昨年10月の総裁選で石破首相と一騎打ちとなった高市早苗氏(時事通信フォト)
「高市早苗氏という“最後の切り札”を出すか、小泉進次郎氏で“延命”するか…」フィフィ氏が分析する総裁選の“ウラの争点”【石破茂首相が辞任表明】
NEWSポストセブン
万博で身につけた”天然うるし珠イヤリング“(2025年8月23日、撮影/JMPA)
《“佳子さま売れ”のなぜ?》2990円ニット、5500円イヤリング…プチプラで華やかに見せるファッションリーダーぶり
NEWSポストセブン
次の首相の後任はどうなるのか(時事通信フォト)
《自民党総裁有力候補に党内から不安》高市早苗氏は「右過ぎて参政党と連立なんてことも言い出しかねない」、小泉進次郎氏は「中身の薄さはいかんともしがたい」の評
NEWSポストセブン
阪神の中野拓夢(時事通信フォト)
《阪神優勝の立役者》選手会長・中野拓夢を献身的に支える“3歳年上のインスタグラマー妻”が貫く「徹底した配慮」
NEWSポストセブン
9年の濃厚な女優人生を駆け抜けた夏目雅子さん(撮影/田川清美)
《没後40年・夏目雅子さんを偲ぶ》永遠の「原石」として記憶に刻まれた女優 『瀬戸内少年野球団』での天真爛漫さは「技巧では決して表現できない境地」
週刊ポスト
朝比ライオさん
《マルチ2世家族の壮絶な実態》「母は姉の制服を切り刻み…」「包丁を手に『アンタを殺して私も死ぬ』と」京大合格も就職も母の“アップへの成果報告”に利用された
NEWSポストセブン
チームには多くの不安材料が
《大谷翔平のポストシーズンに不安材料》ドジャースで深刻な「セットアッパー&クローザー不足」、大谷をクローザーで起用するプランもあるか
週刊ポスト
ブリトニー・スピアーズ(時事通信フォト)
《ブリトニー・スピアーズの現在》“スケ感がスゴい”レオタード姿を公開…腰をくねらせ胸元をさすって踊る様子に「誰か助けてあげられないか?」とファンが心配 
NEWSポストセブン
政権の命運を握る存在に(時事通信フォト)
《岸田文雄・前首相の奸計》「加藤の乱」から学んだ倒閣運動 石破降ろしの汚れ役は旧安倍派や麻生派にやらせ、自らはキャスティングボートを握った
週刊ポスト
2013年に結婚した北島康介と音楽ユニット「girl next door」の千紗
《不倫報道で沈黙続ける北島康介》元ボーカル妻が過ごす「いつも通りの日常」SNSで垣間見えた“現在の夫婦関係”
NEWSポストセブン