輝かしいランドマークもいずれ「お荷物的存在」に

 実のところ、デベロッパー側もそういった需要層のマインドをよく理解している。

 駅弁タワマンを盛んに開発分譲しているのは、地方に強い大手ハウスメーカーだったりする。彼らは高額な予算で自宅を建てた優良顧客の名簿を所有している。その名簿を営業活動に使えば、高額なタワマンの販売もスムーズに進むというわけだ。

地方のタワマンは老朽化すれば売却困難に(写真はイメージ)

地方のタワマンは老朽化すれば売却困難に(写真はイメージ)

 しかし、駅弁タワマンが輝かしいランドマークである期間はそう長くはない。タワマンといえども老朽化する。購入した地方の名士や開業医たちも高齢化する。

 そして、セカンドハウスとしてさえ使わなくなった駅弁タワマンを売却しようとしても、買い手を見つけるのはそれほど簡単ではない。

 タワマン好きな人種は、ある意味で見栄っ張りである。新築時にキラキラ輝いているタワマンには高額な費用を投じることは厭わない。しかし、築20年も過ぎて萎れかかってきたタワマンには、高額なお金を払うほどの魅力を感じないかもしれない。

 新築時から30年もすると、購入者たちにも相続が発生する。駅弁タワマンを相続した人が、新築時の購入者と同じような価値観を持っているとは限らない。しかも、その地域に住んでいないとセカンドハウスとしても使いにくい。

 いざ売却するにしても、東京ほど市場の流動性はない。つまり、買い手はすぐに見つからない。

 結局、本来の「住むため」という需要のために供給されたわけではない駅弁タワマンは、半世紀を経ずして相続者や地域のお荷物的な存在になり果てるのではないか。

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