スポーツ

大谷翔平 久保純子アナのインタビューが「残念な時間」と化した背景

歴史的なホームランダービーだった(Sipa USA/時事通信フォト)

歴史的なホームランダービーだった(Sipa USA/時事通信フォト)

 やり直しのきかない限られた時間、尋ねる側にも相当な緊張があったに違いない。しかし、画面から伝わったやりとりの印象の大半は「残念」だったのではないか。コラムニストの山下柚実氏が指摘した。

 * * *
 7月13日、アメリカMLBオールスターゲームの前夜祭・ホームランダービーを生中継したのはNHK。日本選手で初出場となったエンゼルス・大谷翔平選手は、対戦相手ソト選手と同数のホームランを放ちなかなか決着がつかず。再々延長までもつれて会場は大盛り上がり。なるほど、アメリカの野球はこうやって楽しんでいるのか。お祭り演出のユニークさ、ドラマチックな仕掛けに驚かされました。

 しかしそれとは対照的に、祭の炎に水をかけそうなお寒いインタビュー。思わずのけぞった視聴者も多かったのではないでしょうか。

 いったいなぜ、久保純子元NHKアナウンサーが現場に投入されたのか、その理由はよくわかりませんがホームランダービー直後、大谷選手にマイクを向けた久保アナ。

「こんなに疲れたのはいつぶりですか?」「他の選手から大きなハグがありました。みなさん声をかけてくれましたよね?」

 久保アナはマイクを大谷選手に差し向ける。いったい何を聞きたいのか、曖昧すぎて質問になってない。しかし紳士の大谷選手は一貫して「楽しめました」と返しました。

「今の気持ち、悔しい感じなんでしょうか?」
「いや、楽しかったです。雰囲気自体もすごい良かったですし、いい経験になったと思います」

 それでも久保アナは自分の感想を表現したいのか「悔しい」と言って欲しいのか、最後まで「悔しかったですね」という言葉を繰り返しました。

 本人は楽しんだと言っているのに、何とも噛み合わないやりとり。もうオオタニさんは疲れているんだし明日は本番、素っ頓狂な質問から解放してあげて--。多くの人が画面を見てそう感じたことでしょう。

 案の定、インタビュー後ネットは炎上。

「二度とスポーツ中継に使わないで」「大谷は素晴らしかったけれど、インタビューはダメダメ」「なぜここで久保純子なのか意味がわからない」「延長まで行って盛り上がったけれど、久保アナのインタビューだけ熱気の冷める感じ」という否定的意見が飛び交いました。

 壮大なお祭りは楽しむことがコンセプト。「悔しい」といった否定的感情はそぐわない。基本すら分かっていない。本来なら「よくぞ、それを聞いてくれた」と、見ている人が喜ぶような質問を手短にして欲しいのに。

 ただし久保アナ一人のせいとは言えないのかもしれません。まず人選が問題だし、そもそも日本のスポーツ中継でしばしば見られる質問パターンであったことも事実ではないでしょうか。

「どうですか?」に代表される質問パターン。振り返れば2019年のラグビーワールドカップでも「どうですか?」という質問が日本人記者から出て外国人選手が戸惑う様子も。「具体的な質問をせよ」と苦言を呈した文化人もいました。

 最近はサッカー選手から「どうですかタイプの質問は困る」と記者側へ意見が出されているということも関係者から聞きました。

「固いことを言わなくても娯楽なんだから」「選手の気持ちを聞いたっていいではないか」という意見もあるでしょう。

 しかし、ことはそれだけに留まらない。記者が状況に適した質問をし選手が的確に回答する、という積み重ねは、想像以上に深い意味が潜んでいそうです。

関連キーワード

関連記事

トピックス

遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《女優・遠野なぎこのマンションで遺体発見》近隣住民は「強烈な消毒液の匂いが漂ってきた」「ポストが郵便物でパンパンで」…関係者は「本人と連絡が取れていない」
NEWSポストセブン
盟友である鈴木容疑者(左・時事通信)への想いを語ったマツコ
《オンカジ賭博で逮捕のフジ・鈴木容疑者》「善貴は本当の大バカ者よ」マツコ・デラックスが語った“盟友への想い”「借金返済できたと思ってた…」
NEWSポストセブン
フリー転身を発表した遠野なぎこ(本人instagramより)
「救急車と消防車、警官が来ていた…」遠野なぎこ、SNSが更新ストップでファンが心配「ポストが郵便物でパンパンに」自宅マンションで起きていた“異変”
NEWSポストセブン
モンゴルを訪問される予定の雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、「灼熱のモンゴル8日間」断行のご覚悟 主治医とともに18年ぶりの雪辱、現地では角界のヒーローたちがお出迎えか 
女性セブン
米田
《チューハイ2本を万引きで逮捕された球界“レジェンド”が独占告白》「スリルがあったね」「棚に返せなかった…」米田哲也氏が明かした当日の心境
週刊ポスト
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(左/Xより)
「『逃げも隠れもしない』と話しています」地元・伊東市で動揺広がる“学歴詐称疑惑” 田久保真紀市長は支援者に“謝罪行脚”か《問い合わせ200件超で市役所パンク》
NEWSポストセブン
佐々木希と渡部建
《六本木ヒルズ・多目的トイレ5年後の現在》佐々木希が覚悟の不倫振り返り…“復活”目前の渡部建が世間を震撼させた“現場”の動線
NEWSポストセブン
東川千愛礼(ちあら・19)さんの知人らからあがる悲しみの声。安藤陸人容疑者(20)の動機はまだわからないままだ
「『20歳になったらまた会おうね』って約束したのに…」“活発で愛される女性”だった東川千愛礼さんの“変わらぬ人物像”と安藤陸人容疑者の「異変」《豊田市19歳女性殺害》
NEWSポストセブン
児童盗撮で逮捕された森山勇二容疑者(左)と小瀬村史也容疑者(右)
《児童盗撮で逮捕された教師グループ》虚飾の仮面に隠された素顔「両親は教師の真面目な一家」「主犯格は大地主の名家に婿養子」
女性セブン
組織が割れかねない“内紛”の火種(八角理事長)
《白鵬が去って「一強体制」と思いきや…》八角理事長にまさかの落選危機 定年延長案に相撲協会内で反発広がり、理事長選で“クーデター”も
週刊ポスト
たつき諒著『私が見た未来 完全版』と角氏
《7月5日大災害説に気象庁もデマ認定》太陽フレア最大化、ポピ族の隕石予言まで…オカルト研究家が強調する“その日”の冷静な過ごし方「ぜひ、予言が外れる選択肢を残してほしい」
NEWSポストセブン
大阪・関西万博で、あられもない姿をする女性インフルエンサーが現れた(Xより)
《万博会場で赤い下着で迷惑行為か》「セクシーポーズのカンガルー、発見っ」女性インフルエンサーの行為が世界中に発信 協会は「投稿を認識していない」
NEWSポストセブン