アルバム『ハンサムボーイ』には名曲『少年時代』も収録
陽水最大のヒット曲『少年時代』制作の舞台裏
井上陽水が、「平井夏美」というペンネームを持つ川原伸司さんと共作で『少年時代』を世に出したのも1990年。
いまや教科書にも載る名曲『少年時代』の共作者、川原伸司さんとは何者か? 同氏を取材したことのある柴さんによれば、川原さんは当時、ビクター音楽産業の社員で、大瀧詠一さん担当だったという。音楽ジャーナリストの柴那典さんはこう話す。
「『筑紫哲也 NEWS23』(TBS系)という番組が始まるにあたって、オープニングジングル作りを頼まれた陽水さんから、大瀧さんにコーラスアレンジの依頼があり、陽水さんの仕事場に行ったのが最初の出会いだったそうです。
ビートルズを筆頭に、好きな音楽が共通。陽水さんの郷里(福岡県飯塚市)の近くに川原さんの父親が住んでいたこともあって意気投合。その後アルバム作りにも参加することになり、最初に共作した曲が『Tokyo』だったそうです」
川原さんは、陽水のポジティブな面を引き出すため、メジャーキーの曲を作りたいと考えていたという。
「たまには背筋を伸ばして、ビートルズの『レット・イット・ビー』のような誰もが名曲と認めてくれる曲を作りましょう―川原さんがそう提案して生まれたのが『少年時代』だったそうです」(柴さん)
こうした出会いが、1990年以降の陽水の新たな魅力につながっていったのだ。
取材・文/北武司
※女性セブン2021年7月29日・8月5日号