芸能

岩崎宏美が振り返る阿久悠さんと筒美京平さん 『ロマンス』を巡る対立

岩崎宏美が阿久さんと筒美さんとの思い出を振り返る

岩崎宏美が阿久さんと筒美さんとの思い出を振り返る

 昭和の音楽界にその名を刻む作詞家・阿久悠さんと作曲家・筒美京平さん。その二人が多くの楽曲を提供した歌手・岩崎宏美が、阿久さんと筒美さんとの思い出、名曲との出会いについて語った。

 * * *
 デビュー曲の『二重唱(デュエット)』(1975年)以来、阿久悠先生には約70曲、筒美京平先生には約80曲も書いていただきました。お二人は歌手・岩崎宏美を作ってくださった恩人です。

 私はオーディション番組『スター誕生!』を経てデビューしましたが、審査員を務めていた阿久先生は無駄に笑わない方。当時は30代後半だったと思いますが、高校生だった私にはすごく大人に見えて怖い印象もありました。でも、その後は詞をいただくたびに「こんなに年が離れているのに、どうして私の気持ちがわかるのかしら」と。『スタ誕』出身で、やはり阿久先生に詞を書いてもらっていた森昌子さんや伊藤咲子さんたちと「先生って、あんな顔して経験豊富なのかもね」という話をしていました。あははは……。

 筒美先生は私が歌手になる前、「この歌、素敵だな」と思って芸能誌の歌本を見ると、決まって“作曲:筒美京平”と表記されていて。ですから、デビュー曲の作曲が筒美先生と聞いた時は、自分はなんて強運なのだろうと思いました。その先生はとてもオシャレで物腰の柔らかい方。

 最初のレコーディングでは「将来、多くの人から高音を褒められるだろうけど、あなたの良さは中低音だから、それを忘れないでね。あとはリズム感がちょっと甘いから、リズムのある曲を聴いて勉強しなさい」と言われました。私はジャクソン5が好きでよく聴いていたので少しショックだったのですが、プロの厳しさを先生から教えられた気がします。

 阿久先生と筒美先生は『想い出の樹の下で』(1977年)まで、8作連続でシングル曲を書いてくださいましたが、2作目の『ロマンス』(1975年)の時はB面の『私たち』と、どちらをA面にするかで意見がわかれたこともありました。筒美先生は「歌詞は16歳の少女が歌うには色っぽすぎるんじゃないか」とおっしゃって『私たち』に1票。阿久先生は「こういう詞でも岩崎くんが歌えば爽やかに聴こえる」とおっしゃって『ロマンス』に1票。最終的には私を含めた関係者の多数決で『ロマンス』がA面となりました。

『ロマンス』はもともとバラードだったらしいのですが、メロディがいいので、アップテンポにしたそうです。キーが高いのでいま歌うのは大変ですが、ファルセット(裏声)を使って、命を削りながら、当時のキーで歌っています。

関連キーワード

関連記事

トピックス

麻薬取締法違反容疑で家宅捜査を受けた米倉涼子
「8月が終わる…」米倉涼子が家宅捜索後に公式SNSで限定公開していたファンへの“ラストメッセージ”《FC会員が証言》
NEWSポストセブン
巨人を引退した長野久義、妻でテレビ朝日アナウンサーの下平さやか(左・時事通信フォト)
《結婚10年目に引退》巨人・長野久義、12歳年上妻のテレ朝・下平さやかアナが明かしていた夫への“不満” 「写真を断られて」
NEWSポストセブン
人気格闘技イベント「Breaking Down」に出場した格闘家のキム・ジェフン容疑者(35)が関税法違反などの疑いで逮捕、送検されていた(本人SNSより)
《3.5キロの“金メダル”密輸》全身タトゥーの巨漢…“元ヤクザ格闘家”キムジェフン容疑者の意外な素顔、犯行2か月前には〈娘のために一生懸命生きないと〉投稿も
NEWSポストセブン
司組長が到着した。傘をさすのは竹内照明・弘道会会長だ
「110年の山口組の歴史に汚点を残すのでは…」山口組・司忍組長、竹内照明若頭が狙う“総本部奪還作戦”【警察は「壊滅まで解除はない」と強硬姿勢】
NEWSポストセブン
バスツアーを完遂したイボニー・ブルー(インスタグラムより)
《新入生をターゲットに…》「60人くらいと寝た」金髪美人インフルエンサー(26)、イギリスの大学めぐるバスツアーの海外進出に意欲
NEWSポストセブン
大谷が購入したハワイの別荘の広告が消えた(共同通信)
【ハワイ別荘・泥沼訴訟に新展開】「大谷翔平があんたを訴えるぞ!と脅しを…」原告女性が「代理人・バレロ氏の横暴」を主張、「真美子さんと愛娘の存在」で変化か
NEWSポストセブン
小林夢果、川崎春花、阿部未悠
トリプルボギー不倫騒動のシード権争いに明暗 シーズン終盤で阿部未悠のみが圏内、川崎春花と小林夢果に残された希望は“一発逆転優勝”
週刊ポスト
ハワイ島の高級住宅開発を巡る訴訟で提訴された大谷翔平(時事通信フォト)
《テレビをつけたら大谷翔平》年間150億円…高騰し続ける大谷のCMスポンサー料、国内外で狙われる「真美子さんCM出演」の現実度
NEWSポストセブン
「第72回日本伝統工芸展京都展」を視察された秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年10月10日、撮影/JMPA)
《京都ではんなりファッション》佳子さま、シンプルなアイボリーのセットアップに華やかさをプラス 和柄のスカーフは室町時代から続く京都の老舗ブランド
NEWSポストセブン
兵庫県宝塚市で親族4人がボーガンで殺傷された事件の公判が神戸地裁で開かれた(右・時事通信)
「弟の死体で引きつけて…」祖母・母・弟をクロスボウで撃ち殺した野津英滉被告(28)、母親の遺体をリビングに引きずった「残忍すぎる理由」【公判詳報】
NEWSポストセブン
部下と“ラブホ密会”が報じられた前橋市の小川晶市長(左・時事通信フォト)
《黒縁メガネで笑顔を浮かべ…“ラブホ通い詰め動画”が存在》前橋市長の「釈明会見」に止まぬ困惑と批判の声、市関係者は「動画を見た人は彼女の説明に違和感を持っている」
NEWSポストセブン
バイプレーヤーとして存在感を増している俳優・黒田大輔さん
《⼥⼦レスラー役の⼥優さんを泣かせてしまった…》バイプレーヤー・黒田大輔に出演依頼が絶えない理由、明かした俳優人生で「一番悩んだ役」
NEWSポストセブン