第5波で重症者も増えている(共同通信社)
もともとコロナになっても重症化することの少ない若年者層は、ワクチンを打っても打たなくても死亡率が変わらないかもしれないのだ。その理由は、気が緩んで感染対策を怠っているからなど、さまざまな分析ができるが、事実もしそうならば、50才未満が接種しなければならない理由が揺らぐ。
もう1つの重大な懸念は、ブレークスルー感染者が、感染を広げる「スプレッダー」になることだ。CDCによれば、デルタ株にブレークスルー感染した人の体内には、未接種者とほぼ同量のウイルスが生じる。
「ワクチンを接種した人が感染すると、自分でも気づかないうち、つまり発症していないのに、ほかの人にウイルスを感染させる可能性があります。だからワクチン接種完了後もマスクや手洗いなどの感染対策を欠かしてはなりません」(血液内科医の中村幸嗣さん)
ブレークスルー感染に気をつけるべきはどんな人か。
「持病があって健康に不安がある人ほど、抗体価(体内の抗体の量のこと)が上がりにくい可能性があります」(倉持さん)
実際にブレークスルー感染した152人を対象にしたイスラエルの研究では、感染者に高血圧(71%)、糖尿病(48%)、うっ血性心不全(27%)、慢性肺疾患(24%)といった併存疾患が高い頻度でみられた。さらに患者のうち60人(40%)が免疫不全だった。この研究を主導したサムソン・アスタ・アシュドッド大学病院(イスラエル)のタル・ブロッシュ・ニシモフ医師は『女性セブン』の取材にこう語った。
「ワクチン接種を終えた人でもデルタ株に感染する可能性は確実にあります。またワクチンには重症化を防ぐ効果があるものの、免疫力が低下していたり複数の合併症を抱えていると重症化したり、致命的になったりすることがあります。
デルタ株の影響で、イスラエルの8月初旬の新規感染者は1日2000人を超え、右肩上がりで増えています。そのためイスラエル保健省は、2回目のワクチンを接種した60才以上の人に対し、3回目の接種を促すようなワクチン政策を進めています」
日本でも「3回接種」が現実味を帯びてきそうだ。
※女性セブン2021年8月19・26日号