中国北部・河北省張家口市の「国家スキージャンプセンター」(写真=新華社/共同通信社)
2019年に北京五輪会場を視察した東京都議の尾崎大介氏も「建設のスピード感や計画のダイナミックさに舌を巻いた」と語る。
最新技術も惜しみなく投入されている。約2万人の観客を収容する「五松体育館」(北京市)はその典型だ。
「もともと2008年の北京五輪でバスケットボールの会場として建設された施設で、わずか6時間でアイスホッケー会場に切り替えることが可能です。
今年4月にテストイベントが行なわれたのですが、最新のVR技術を駆使した『多次元観戦体験システム』が取り入れられていました。これは会場の40台のカメラで撮影した映像を特殊加工して3Dで投影するもの。自分がフィールドに立っているような臨場感が味わえます」(西谷氏)
スピードスケートの会場となる「国家速滑館」(北京市)、通称「アイスリボン」は、五輪に向けて新設された施設のなかで、習近平氏が特に力を入れた会場の一つだ。
「この施設の建設には、中国が誇る学者や建築家が数多く投入されました。その結果、世界初となる温室効果ガス排出量ゼロの製氷技術の導入に成功。日本の平均的なスケートリンクは1800平方メートルほどですが、それをはるかに上回るアジア最大の1万2000平方メートルのリンクを実現させました」(同前)
※週刊ポスト2021年8月20日号