日本テレビは今年も24時間テレビを放送
それぞれベースとなる内容が「チャリティ」「歌と笑い」と大きく異なりますが、「“コロナ禍”“東京オリンピック直後”という現状にフィットしやすいだろう」とみられているのは『FNSラフ&ミュージック』。コロナ禍の重苦しいムードが続く今、チャリティは「なぜ今?」「きれいごとでは?」と思われるリスクが高く、オリンピックでアスリートたちが見せたリアルな感動を上回ることは難しいからです。
対する「歌と笑い」は、「せめてテレビくらいは明るく楽しいものであってほしい」という視聴者願望にフィット。やりすぎると批判を受けるリスクこそありますが、“祭典”の名にふさわしい特別感のあるものであれば、ネット上の話題を独占しそうです。
メイン視聴者層と放送時間にも違い
両番組の視聴者層にも大きな違いがあります。『24時間テレビ』はメインパーソナリティーにKing & Prince、スペシャルサポーターにチョコレートプラネットと若年層に人気のタレントをそろえた上に、チャリティ番組らしく高齢層の支持が厚いのが特徴。言わば、下と上の年齢層をしっかり押さえた形です。
一方の『FNSラフ&ミュージック』で中心になりそうなのは、歌とお笑い好きの多い中間の年齢層(20~40代)。「放送時間を『FNS27時間テレビ』の3分の1に絞り、2日に分けつつ夜に集中させる」というメリハリの効いた構成で、「冗長にならない」「飽きさせることなく見せられるのでは」とみられているのです。
東京オリンピックに続く夏の大型特番は、どちらがより話題を集め、視聴率という結果を得られるのか。2週連続の生放送によって比較されることをわかっている両局は、これからそれぞれ1週間力の入ったPR合戦を見せるでしょう。
【木村隆志】
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者。雑誌やウェブに月30本前後のコラムを提供するほか、『週刊フジテレビ批評』などの批評番組に出演し、番組への情報提供も行っている。タレント専門インタビュアーや人間関係コンサルタントとしても活動。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』『独身40男の歩き方』など。