ビジネス

フィアットの古参モデル500Cに乗って体感した「敢えてローテク車を選ぶ楽しさ」

フィアット500Cのフロントビュー(箱根・大観山にて)

フィアット500Cのフロントビュー(箱根・大観山にて)

 電動化や運転支援システムの進化などハイテク化が著しい現代のクルマ。だが、敢えて運転する楽しみを求めてオシャレな“ローテク車”に乗る選択肢もある。自動車ジャーナリストの井元康一郎氏が、イタリアの自動車メーカー、フィアットの人気古参モデル「500C」を試乗して、その魅力を余すところなくレポートする。

 * * *
 とどまるところを知らないクルマのハイテク化。昨今のSDGs(持続可能な開発目標)推しに伴う電動化、クルマの周囲を監視して危険を察知すると自動的にブレーキをかけたり車線逸脱を防いだりする先進運転支援システム「ADAS」、クルマをネット端末化するコネクティビティ等々。

 電動化やADASについては、今後それなしでは新車を販売できないという時代すら遠からず到来しそうである。ADASは国産車が2021年11月以降に出る新型車から、輸入車は2024年7月から装備が義務化される。すでに発売されているクルマについては一艇期間の猶予があるが、今日からの猶予期間が長い輸入車でもデッドラインは5年後の2026年7月。世界におけるADAS義務化の急先鋒はここ、日本だ。

ハイテク化から漏れたクルマたち

 電気自動車推しも欧州を中心にとどまるところを知らない。世界ではエンジン車の販売禁止年月を区切るのが流行りとなっており、各国政府が「わが国は2035年」「オレたちは2030年だ」と、ラディカルな公約の発表合戦となっている。

 再生可能エネルギー由来の液体燃料「eフューエル」や純水素を使えばエンジンも生き残りが可能ではあるが、eフューエルはエネルギー収支の低さから宿命的にコストが高く、内燃機関の熱効率の低さと相まって、現実的なソリューションになる見込みはまったく立っていない。

 こんな世情である。ハイテク化から漏れたクルマたちの肩身は狭くなる一方だ。ホンダは電動化、ADAS搭載などの対応が難しいとして、販売が低迷していた軽スポーツ「S660」の生産中止を2024年までの猶予期限を待つことなく早々と決めた。

 ローテクな軽スポーツカーというと、ダイハツが作る「コペン」もあるが、今の状況だとこれもいつディスコン(モデル廃止)になるかわかったものではない。衝突軽減ブレーキの確実性を上げるという観点では、MT(手動変速機)モデルも難しい立場に追いやられるだろう。今は文字通り、ローテク車に乗るラストチャンスになりつつあるのだ。

関連記事

トピックス

氷川きよしの白系私服姿
【全文公開】氷川きよし、“独立金3億円”の再出発「60才になってズンドコは歌いたくない」事務所と考え方にズレ 直撃には「話さないように言われてるの」
女性セブン
5月場所
波乱の5月場所初日、向正面に「溜席の着物美人」の姿が! 本人が語った溜席の観戦マナー「正座で背筋を伸ばして見てもらいたい」
NEWSポストセブン
AKB48の元メンバー・篠田麻里子(ドラマ公式Xより)
【完全復帰へ一直線】不倫妻役の体当たり演技で話題の篠田麻里子 ベージュニットで登場した渋谷の夜
NEWSポストセブン
水原一平容疑者は現在どこにいるのだろうか(時事通信フォト)
《大谷は誰が演じる?》水原一平事件ドラマ化構想で注目されるキャスティング「日本人俳優は受けない」事情
NEWSポストセブン
”うめつば”の愛称で親しまれた梅田直樹さん(41)と益若つばささん(38)
《益若つばさの元夫・梅田直樹の今》恋人とは「お別れしました」本人が語った新生活と「元妻との関係」
NEWSポストセブン
被害男性は生前、社長と揉めていたという
【青森県七戸町死体遺棄事件】近隣住民が見ていた被害者男性が乗る“トラックの謎” 逮捕の社長は「赤いチェイサーに日本刀」
NEWSポストセブン
学習院初等科時代から山本さん(右)と共にチェロを演奏され来た(写真は2017年4月、東京・豊島区。写真/JMPA)
愛子さま、早逝の親友チェリストの「追悼コンサート」をご鑑賞 ステージには木村拓哉の長女Cocomiの姿
女性セブン
被害者の平澤俊乃さん、和久井学容疑者
《新宿タワマン刺殺》「シャンパン連発」上野のキャバクラで働いた被害女性、殺害の1か月前にSNSで意味深発言「今まで男もお金も私を幸せにしなかった」
NEWSポストセブン
NHK次期エースの林田アナ。離婚していたことがわかった
《NHK林田アナの離婚真相》「1泊2980円のネカフェに寝泊まり」元旦那のあだ名は「社長」理想とはかけ離れた夫婦生活「同僚の言葉に涙」
NEWSポストセブン
大谷翔平の妻・真美子さんを待つ“奥さま会”の習わし 食事会では“最も年俸が高い選手の妻”が全額支払い、夫の活躍による厳しいマウンティングも
大谷翔平の妻・真美子さんを待つ“奥さま会”の習わし 食事会では“最も年俸が高い選手の妻”が全額支払い、夫の活躍による厳しいマウンティングも
女性セブン
広末涼子と鳥羽シェフ
【幸せオーラ満開の姿】広末涼子、交際は順調 鳥羽周作シェフの誕生日に子供たちと庶民派中華でパーティー
女性セブン
パリ五輪への出場意思を明言した大坂なおみ(時事通信フォト)
【パリ五輪出場に意欲】産休ブランクから復帰の大坂なおみ、米国での「有給育休制度の導入」を訴える活動で幼子を持つ親の希望に
週刊ポスト