カワイイだけじゃなく使い勝手も良好
Cを含む500にとって、内外装の可愛さはもちろん一番のセールスポイントであろう。が、ラブリーというのは単にデザインの可愛さを言っているのではない。
全長3.57mという短いボディの四隅をめいっぱい削いだことで生まれたコロッとしたスタイリングはいかにもデザイン優先で、実用性など皆無であるかのように見える。500Cの場合、後部がハッチバックでなくなる分、荷物の積載力もいかにも絶望的という印象だ。
小さくて丸くて強さをまるで感じさせない、まるでマルチーズみたいな500Cだが、使ってみると予想よりずっと使い勝手が良く、しかも走りもメチャクチャしっかりしている。「カワイイだけじゃなかったのか!」という、言うなればギャップ萌えを誘発する要素を多々持っていた。
たとえば荷室である。容量は182リットルと、ミニマムにも程があるという数値である。筆者は長距離試乗をするさいに使う海外旅行用の大型トランクを今回は使わなかった。とても積めないと思ったからである。
だが、実際に荷室を見たら、容量が小さいなりに出っ張りを極力排したスクエアな形で奥行きも結構ある。後席のシートバックを倒さずともボストンバッグ、リュック、釣り道具等々、いろいろなものを積める。小さめのトランクだったら2個、余裕で積めただろう。これが格好ばかりじゃなかったのかと感銘を覚えた第1点。
跳ね上げ式の荷室ドア。この開き方がかわいい
後席シートバックは可倒式で、荷室を広げることができる
じつは居住区も大人4人が十分乗れる。ホイールベースはスズキ「アルト」やダイハツ「ミライース」などの軽乗用車より160mmも短い2300mmしかなく、これまた絶望的なように思えるが、このコロコロとしたフォルムでちゃんと4人乗れてしまうのだ。これが第2点。
見た目を完全に裏切る後席居住性。これなら大人4人がけもいける