スポーツ

甲子園 明徳vs県岐商「くせもの監督」2人の高度すぎる心理戦

鍛治舎監督

県立岐阜商業の鍛治舎巧監督(写真)と明徳義塾の馬淵史郎監督は、どう出る

 夏の甲子園の初戦屈指の注目カードが、高校野球を知り尽くした監督同士の対決となる明徳義塾(高知)vs県立岐阜商業の一戦だ。雨天順延が続いているが、両監督はどのような備えで初戦に臨もうとしているのか。試合前の発言からも読み取れる、その高度な心理戦をノンフィクションライター・柳川悠二氏がレポートする。

 * * *
 夏の全国高等学校野球選手権大会の3日目は雨で3日も順延となり、本日(8月15日)の天気も雨の予報だ。第1試合に登場するノースアジア大明桜(秋田)の157キロ右腕・風間球打は、荒天によってノーゲームとなった12日の試合で、4回までMAX149キロ直球と多彩な変化球で無安打ピッチングを披露した。さすが今大会ナンバーワン右腕と呼ばれるだけのピッチングであり、内容だった。

 しかし、早く試合が見たいのは、第2試合に控える明徳義塾対県立岐阜商業の一戦だ。この試合を個人的には、「たぬきの化かし合い対決」と呼んでいる。

 明徳義塾の馬淵史郎監督(65)は、甲子園通算51勝の名将で、松井秀喜に対する5打席連続敬遠に代表されるように、高校野球界一の策士だ。対する県岐商の鍛治舎巧監督(70)は、母校でもある同校を卒業したあと早稲田大、松下電器とアマチュア野球のエリート街道を進み、その後、長くNHKの高校野球解説を務めた。近年は高校野球監督に転身して熊本・秀岳館を3季連続で甲子園ベスト4に導き、母校に戻ると低迷からの脱却に成功し、夏の甲子園には同校として9年ぶりに帰還した。
 
 誤解なきように断っておくと、60歳を超えてなお高校野球に人一倍の情熱を捧げる両監督が、私は心の底から大好きだ。共に教育者である以上に、野球の技術屋としての矜持が感じられる。試合前の取材では、報道陣さえも利用し、手の内を明かすようにみせて相手監督の動揺を誘い、肝心の策については煙にまく。それゆえの「たぬき」だ。反面、試合が終わってしまえば狙いや意図を詳細に語り、こちらもなるほどと得心する。
 
 本音と建前を使い分ける指揮官の腹の内に踏み込みたいと思うがゆえに、筆者は時折、両監督を怒らせてもしまうが、尊敬の念があるからこそ、ついつい真剣勝負を挑んでしまうのだ。
 
 そんな両監督は雨で中止となった間に、リモート会見に応じた。馬淵監督は監督としての「鍛治舎巧」という野球人の印象についてこう語った。

「細かいことよりも、監督自身の積極的な姿勢が選手たちのプレーから伝わってきますよね。とくに攻撃面において。投手起用においても、逃げずに攻めていく。鍛治舎さんの強い気持ちに負けないように、こちらの監督も選手も臨みたいと思います」

関連記事

トピックス

「高市外交」の舞台裏での仕掛けを紐解く(時事通信フォト)
《台湾代表との会談写真をSNSにアップ》高市早苗首相が仕掛けた中国・習近平主席のメンツを潰す“奇襲攻撃”の裏側 「台湾有事を看過するつもりはない」の姿勢を示す
週刊ポスト
クマ捕獲用の箱わなを扱う自衛隊員の様子(陸上自衛隊秋田駐屯地提供)
クマ対策で出動も「発砲できない」自衛隊 法的制約のほか「訓練していない」「装備がない」という実情 遭遇したら「クマ撃退スプレーか伏せてかわすくらい」
週刊ポスト
真美子さんのバッグに付けられていたマスコットが話題に(左・中央/時事通信フォト、右・Instagramより)
《大谷翔平の隣で真美子さんが“推し活”か》バッグにぶら下がっていたのは「BTS・Vの大きなぬいぐるみ」か…夫は「3か月前にツーショット」
NEWSポストセブン
文京区湯島のマッサージ店で12歳タイ少女を働かせた疑いで経営者が逮捕された(左・HPより)
《本物の“カサイ”学ばせます》12歳タイ少女を働かせた疑いで経営者が逮捕、湯島・違法マッサージ店の“実態”「(客は)40、50代くらいが多かった」「床にマットレス直置き」
NEWSポストセブン
山本由伸選手とモデルのNiki(共同通信/Instagramより)
《いきなりテキーラ》サンタコスにバニーガール…イケイケ“港区女子”Nikiが直近で明かしていた恋愛観「成果が伴っている人がいい」【ドジャース・山本由伸と交際継続か】
NEWSポストセブン
3年間に合計約818万円のガソリン代を支出していた平口洋・法務大臣(写真/共同通信社)
高市内閣の法務大臣・平口洋氏が政治資金から3年間で“地球34周分のガソリン代”支出、平口事務所は「適正に処理しています」
週刊ポスト
Mrs. GREEN APPLEのギター・若井滉斗とNiziUのNINAが熱愛関係であることが報じられた(Xより/時事通信フォト)
《ミセス事務所がグラドルとの二股を否定》NiziU・NINAがミセス・若井の高級マンションへ“足取り軽く”消えた夜の一部始終、各社取材班が集結した裏に「関係者らのNINAへの心配」
NEWSポストセブン
山本由伸(右)の隣を歩く"新恋人”のNiki(TikTokより)
《チラ映り》ドジャース・山本由伸は“大親友”の元カレ…Niki「実直な男性に惹かれるように」直近で起きていた恋愛観の変化【交際継続か】
NEWSポストセブン
米大リーグ、ワールドシリーズ2連覇を達成したドジャースの優勝パレードに参加した大谷翔平と真美子さん(共同通信社)
《真美子さんが“旧型スマホ2台持ち”で参加》大谷翔平が見せた妻との“パレード密着スマイル”、「家族とのささやかな幸せ」を支える“確固たる庶民感覚”
NEWSポストセブン
モデル・Nikiと山本由伸投手(Instagram/共同通信社)
《交際説のモデル・Nikiと歩く“地元の金髪センパイ”の正体》山本由伸「31億円豪邸」購入のサポートも…“470億円契約の男”を管理する「幼馴染マネージャー」とは
NEWSポストセブン
高校時代の安福容疑者と、かつて警察が公開した似顔絵
《事件後の安福久美子容疑者の素顔…隣人が証言》「ちょっと不思議な家族だった」「『娘さん綺麗ですね』と羨ましそうに…」犯行を隠し続けた“普通の生活”にあった不可解な点
「週刊ポスト」本日発売! 内部証言で判明した高市vs習近平「台湾有事」攻防ほか
「週刊ポスト」本日発売! 内部証言で判明した高市vs習近平「台湾有事」攻防ほか
NEWSポストセブン