2018年の大阪桐蔭(撮影/藤岡雅樹)
現地でのブラスバンドによる応援が許可されなかった昨夏の甲子園交流試合では、対戦相手だった東海大相模(神奈川)の吹奏楽部と連絡を取り合い、オンラインで応援合戦を繰り広げた。今春のセンバツでは、大阪桐蔭のオリジナル曲である「You are スラッガー」や最新の楽曲を事前に収録し、甲子園でそれが流れた。大阪の場合、地方大会はいわゆる“鳴り物禁止”で、野球応援ができるのは甲子園や秋季近畿大会などに限られる。
「今年の生徒はまだ甲子園球場での応援を経験していない子が多い。なんとか応援させてあげたいね」
7月上旬の取材時は大阪桐蔭の出場はおろか、甲子園のブラスバンド応援が50人に限定されることも決まっていなかったが、出場することを前提に準備に取りかかっていた。
「先日、YouTubeでライブ配信を一緒にして28万人の方が同時接続したYOASOBIさんの楽曲を含め、20曲ぐらいは用意しています。僕らが大事にしているのは、打席に立った選手がどういう気持ちを抱くか。出来る限り、彼らが好きな曲を選んであげたい。伝統校によっては、お馴染みの曲を演奏し続けるところもある。それはそれの良さがあるけど、大阪桐蔭っぽくない。うちはできるだけ新しいものを取り入れたい」
今年の夏の甲子園は大会序盤に雨が相次ぎ、とりわけ3日も試合が延びた第3日は予定していた学校関係者が来られなくなったのか、春のセンバツ同様、事前に収録された音源を使用する学校が多かった。
今後も不安定な天候が続く。夢舞台に立った球児のはつらつプレーとブラスバンドの生音で、甲子園を覆う曇天を切り裂いてもらいたいものだ。