足立区配布の「自宅療養セット」。2020年4月版。現在はルスオキシメーターの貸出も行っている(時事通信フォト)
個人的な気持ちを言うと、コロナ対策というだけでなく、医師や看護師などからパルスオキシメーターの正しい使い方を教わり、体温計のように家庭に常備しておいてもよいのではないかと思っている。というのも、私がパルスオキシメーターを自分自身で持ち歩き、測るようになった10年前の体験が、備えておいたほうがよいのではと思わせるのだ。
あのときは、一週間ほど前から喉がイガラっぽかったが、夏風邪くらいの軽い気持ちでいて、近所のクリニックで処方された風邪薬を飲んでいた。真夏なのになんとなくずっと寒気がしていたのは、どこかで炎症がくすぶっていたせいかもしれない。ところが、昼間に普通にしていたのに、夜になって突然の高熱に突然の咳。夜中に都内のERに緊急入院となり、酸素飽和度は90台の前半。その数値をみて看護師も夜中の当直医も色めきたち、ベッドに備えてある酸素のマスクをつけられた。96になるまでは酸素マスクは外さないようにと医師や看護師からきつく言われ、家族も呼ばれて命の危険を覚悟した。
翌朝レントゲンを撮ってみると肺が白くなって炎症を起こしている。病名はマイコプラズマ肺炎。普通に暮らしていればそれほど重症化しない病気だが私の場合は突然急変した。
幸い一週間の点滴と酸素投与で軽快し、酸素飽和度が96になって退院。あのときの苦しさを思うと今も全身がザワザワとしてしまうので、私自身の呼吸器の主治医もしてもらっている、前出の大谷義夫院長に相談。そして、お守りがわりにパルスオキシメーターを持ち歩いて、気になったら測ることをすすめられ、使い方などの指導を受けた。以来、カバンに入れて持ち歩いている。脈も計測できるので、運動後などもマメに計測している。
ここまでパルスオキシメーターで計測を、とすすめてきたが、その数値だけを過信してはいけない。もし風邪などのときにバルスオキシメーターで数字が正常であっても、息苦しさや呼吸の違和感があった場合は主治医やかかりつけ医に相談をしたほうがいいと思う。私のように呼吸器は急変することもある。それでも、熱もなく普段通りに話せても、バルスオキシメーターが90台前半から80台と酸素飽和度が正常な範囲を下回っている場合もある。自覚が遅れてくる場合もあるのだ。